2007年11月号 3面
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 福祉調査センターだより

 今小規模多機能事業所が求められている
 小規模多機能事業所数は、本年、1000ヵ所を超えた。「2015年の高齢者介護」では、小規模多機能を利用者の生活圏内(小・中学校区ごと)に整備することが必要だとされている。
 「こんな所があったらいいなー」の一つ、門真市野里町にある「大和田ちどり」を見学した。民家を改修し、家庭的な雰囲気の中で自宅にいるような時間を演出している。利用登録者は25名、日中の最大利用者は20名で、内5名は認知症通所介護の事業所として受け入れている。
 当日も18名の利用者が入浴、昼食、カラオケと和気藹々の時間を過ごしていた。月.水.金は認知症対象、火.木.土は介護度要支援1〜要介護2が中心、要介護3.4.5の利用者もいる。5名までは宿泊可能である。週に5日宿泊利用し、土日を家族と自宅で落ち合うように帰宅している例もある。
 今年は町内の老人会、民生委員などを招待し「夏祭り」を行ったが80名の参加があった。
 取材中に利用者が迷子になっていると電話が入る。急遽職員が捜しに出掛けたが近所の薬屋さんが見つけ、無事家族の元に帰った。地域の連携も巧く機能しているようだ。問題が無いわけではない。まだまだ認知症の理解度が地域に薄く、トラブルがなくならない。 介護保険改正以後、家賃と食費は自己負担だ。小規模多機能は施設ではないので、利用者は主たる生活の場として自宅確保が必要だ。自宅家賃と事業所へ払う宿泊部屋代は家賃の2重払いとなる。特に生活保護の利用者には負担が重く、特養施設への移行に迫られているという。 
 24時間365日体制で、切れ目無く介護サービス(通所・宿泊・訪問)を提供できる小規模多機能事業所は、在宅生活を送る要介護者の強い味方になるはずである。便利で安心感のある、言わば介護のコンビニエンスストアなのではないか。
(常務理事 青木富子)

生涯学習センターニュース

    ○J&Bコーラス 
      第2、4金曜13時 大阪産業創造館15F 
    ○司馬・街道を行く 
      さりげなく風林火山  「富士山一周と河口湖を巡る旅」
        11月26日(月)、27日(火) 
        新幹線「富士駅」集合 河口湖「ウインレイクヒルホテル」(ナルク山梨代表の経営)          で1泊 預託点数8点利用可能 先着順
                    問合せ 藤岡 06ー6876ー1832
    ○劇団ナルク 第2、4金曜日15時30分
        大阪産業創造館15F 男女団員募集中
  劇団ナルク
      安土拠点での2月公演決まる
 初期痴呆の会員が劇団に入り、厳しいトレーニングに耐えるうちに、認知症が軽くなると言う明るく楽しい当世流行の脳トレをテーマにした内容。団員の平均年齢が70歳だけに信憑性が感じられる。拠点では町内挙げての動員を計画中。 問合せ 茶谷06ー6351ー0733

 エンディング・エピソード

        優秀賞      広島市安芸区  石原尚子
 
  託す
 去年、私は祖母を亡くした。数年の闘病生活の後、遺言などは残さず逝ってしまった。
 大正生まれの祖母は闘病中「こうして欲しい」など自分の思いや、死後の事務的なことなど殆ど言うことはなかった。
 そんな祖母の望みを1度だけ聞いたことがあった。療養中の祖母はその日は調子が良いらしく、蒲団の中で鼻歌を口ずさんでいた。
 「この曲、何だっけ」 「Body and Soul 身も心もって曲だよ」
 少し恥ずかしそうに祖母は笑っていた。言わずとしれたジャズの名曲だ。私は祖母とジャズがどうしても結びつかなかった。
 私の疑問を察したのか祖母は棚のアルバムを私に差し出した。そこには素敵な男性に囲まれて、洋服に帽子という私の知らない祖母がいた。
「この頃はモガって呼ばれていてね、モガ分かる?」
 私はしばらく祖母の昔話に聞き入っていた。「私が死んだらお葬式は簡単なのがええね、戒名なんていらんしね、葬式にBody and Soulを流して欲しいね」
どうして祖母がこの曲が好きなのかは結局聞かなかったが、きっと素敵な思い出があったのだろう。 
 しかし葬儀に、この曲が流れることはなかった。皆に伝えてはみたが、「まさかお婆ちゃんがそんな曲を」とか「葬式に合わないよ」など親戚は取り合わなかった。もし祖母がその意思を文章で残していたら、「故人の意思」ということで実現したのではなかろうか。
 声に出しては言えないことでも、文章になら書ける、エンディングノートにはこういう利点がある。
 昔母が「わたし、実家のお墓に入りたいワ」と、ふと言ったことを思い出す。夫である父にはなかなか言いにくいことである。しかしノートに綴るのであれば、素直に自分の気持ちを遺族に託すことはできる。
 エンディングノート、この必要性を改めて感じてしまう。
 さて、私なら今エンディングノートに何を綴るのだろうか。今綴る内容と10年後に綴る内容は違うかもしれない。
家族が増え、周りの環境が変わればそれは当然のことだろう。しかしペンを握りその時々に応じて、自分の気持ちに真剣に向き合う時間があっても良いのではなかろうか。
 自分が本当に望むこと、しなければいけないこと、周りの人々への思い、それらを再確認するためのツール、それがエンディングノートだ。    以上
 (原文より抜粋)

拠点リレー訪問32

 ナルク美祢(ふくふく)  訪問記
 ナルク「美祢(みね)」が活動している美祢市は観光地
秋吉台カルスト地帯」に連なる山あいの町です。
 新幹線で山口県に入るとトンネルが次々と続きます。たまにトンネルを出ると、緑に包まれた山ときれいな青空が目にしみました。
 美祢市は人口18,000人余りですが、228・25平方kmと人口のわりにとても広い町です。千葉代表にわざわざ新山口まで迎えて頂きましたが、山間を立派な道路ができていて小1時間で裏山のある事務所(ご自宅)に到着。大阪暮らしの身には別世界のような静かな環境でした。
 ナルク「美祢」は設立して3年、会員45名です。活動は今のところ女性中心ですが、皆さん和気藹々と、代表を中心にこの広い地域で活動されています。
 主な時間預託活動は車での送迎、草刈、竹切り、網戸の張替え、パソコンでの入力作業など年間約300時間です。
「竹切り」とは、季節には蛍が飛び交う山間の清流の岸にある会員のお宅の数百本の笹竹の群落を刈り取る作業です。千葉代表がチェーンソーで切り倒し女性のみなさんがロープで引き倒して積み上げるというなかなかの重作業です。折からの暑さの中で力を合わせてこなしておられました。すごいエネルギーです。
 会員同士の交流のために全員を対象にした月1度の例会を、誕生会もかねて開催、代表がいつもおいしいケーキを作って提供するのでみんなの大きな楽しみになっています。
これからの課題は、会員数を増やして各施設や公共団体との協働を働きかけえること、また子育ての活動を進めたいことなど、夢を大きく膨らませています。
 ナルク「美祢」の皆さんの一体感と力があれば夢も必ず達成できることでしょう。  
 
ケーキづくりをする千葉代表                  野村文夫記 

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