2007年9月号 3面
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福祉調査センターだより                       

意欲ある介護職員に良い労働条件をA
 いま厚生労働省の社会保障審議会で「福祉人材確保指針」の見直しが論議されている。福祉・介護サービス従事者は、平成17年現在で約328万人であるが、平成5年と比べて約4.6倍となっている。そのうち高齢者に関連する従事者の伸びは、平成5年の約17万人と比べて、約197万人と、12倍に達している。
従事者の特徴として、
 1,女性の占める割合が高く、平成16年の実績で約8割を占めている。
 2,非常勤職員が近年増加傾向にあり、平成17年の実績で約4割、このうち訪問看護サー   ビスについては約8割を占めている。
 3,入職率及び離職率が高く、平成16年における介護職員の数に対するその後1年間の採用者数の割合は約28%、離職者数の割合は約20%である。
 4,給与の水準は、一律に比較を行うことは困難であるが、例えば平成17年においては、従事者の給与の平均を他の分野を含む全労働者の給与の平均と単純に比較すると、低い水準にある。
 また「介護保険市民オンブズマン機構・大阪」の活動の中から「人手が足りないために一人の職員が二台の車いすを押す」「ナースコールで排泄を知らせるが来てくれる回数が少ない」などの声を聞き、また施設からは職員の応募がままならない現状を知ることが出来る。 
介護保険導入6年、現状が明らかになり問題点も見えてきた。利用者として、第三者機関として、この明らかになってきた問題点の改善を見据えたい。
                                      常務理事 青木富子

エンディング・エピソード入選作                  

   最優秀賞「星や風になって」  今治市朝倉 矢口利子
「私に万一のことがあったら、遺影はこの写真にしてね」
 一瞥しただけで再び新聞に目をやる夫に、無理矢理「わかったわかった」と言わせて10年経った。その写真はそれより7年前に日光で撮ったものでお気に入りの1枚である。賞味期限もどこ吹く風といわんばかり、17年もの間、タンスの上に鎮座している。
 そろそろ還暦かというころから、やたらと家の中を片付けるようになった。なぜか50代の前半には感じたことのない焦燥に駆られたのである。
 私は夫より4歳年上で、世に言う姉さん女房であるが必ずしも私の方が先に逝くとは限らない。万一の時に夫が慌てないようにと常々思っているのである。
 友人にその話をしたところ、60代で遺影だの身辺整理だのと縁起でもないと笑われたが、書店に行っても遺言の書き方や、老いを対象にした著書がたくさん並んでいる。新聞にも「転ばぬ先に」と題して遺言の必要性を説いているではないか。
 友人は旅行で家を空けるとき、キッチンまわりや整理ダンス、特に下着類はいつ誰に見られても恥ずかしくないようにきちんと揃えておくというから、人それぞれで面白い。
 ある日、夫が会社からエンディングノートなるものを持ち帰ってきた。軽い気持ちで頁をめくった私は釘付け状態になった。(これだ!)私が求めていたものはこれなんだ、と心の内で叫んだ。死という暗いイメージや悲愴感がなく、画期的な着想でないかと思う。これほど深い愛情表現が他にあるだろうか。
 私は39歳のとき、高校に入学した長男を頭に3人の男の子を残して離婚している。そして数年後、現在の夫と出会い再婚することになった。
 あるとき、夫が養子縁組の話を持ち出したこともあったが、私の返事はノーだった。後継者がいないと代が絶えるわけで、いま考えると夫には申し訳ない結果になったのかもしれないが、この世で子どもは私が残した3人以外には考えられなかったのだ。
 あれからすでに23年の歳月が流れ、私も名実ともに高齢者の仲間入りをした。
 先日、カーラジオから何となくユニークな詩が流れてきた。「お墓の前で泣かないでください。私はそこにいません」という言葉で始まり、「星や風になって皆を見守ってあげます」という内容の詩で軽い衝撃を受けた。
 という訳で帰宅後、私たちはお互いのために遺言を書いた。戸籍上子どものいない私たちは墓も葬儀も不要、遺骨も残さないという思いが心の底に澱んでいた。思い切って夫に打ち明けると、全く同じ思いだった。そんな会話のあとで夫の横顔にふっと一抹の寂しさを垣間見たのは西の空を染めた残照のせいだったろうか。
                        (著者のご了解を得て原文を抜粋しました)

 ▼△エンディングノート一口メモ A△▼

 生前準備の範囲は非常に広く、臨終の迎え方から葬儀の形式や規模、墓地、墓石、法要さらに相続に関することまで非常に多岐にわたります。
 また尊厳死に対する考えや献体や臓器提供の意思、万一の際に連絡して欲しい人のリストや遺族、友人などへのメッセージを残すのが大切な生前準備です。特に財産に関することは公正証書にしておくべきです。

 ▼△生涯学習センターニュース△▼

    @J&Bコーラス
        第2・4金曜13時    大阪産業創造館15F
                             075・712・4012広部
    A劇団ナルク
        第2・4金曜15・30   大阪産業創造館15F
                             06・6351・0733 茶谷
    B司馬「街道を行く」
        9月23日(日)      今井・橿原散策
                             06・6876・1832 藤岡
    Cケアメイク出前講座
        拠点・施設 応相談   インストラクタ終了研修
        講師:赤木久子氏    10月3日(水)10時
                             12時〜14時 交流会

 ▼△HOW縁結び△▼

年内に一組は成功させたいとの思いで、只今奮闘中です。引き続き独身男女募集中です。
 まずは本部までお電話ください。
                 06・6941・5548   安藤順子 巽豊子

 拠点リレー訪問30                         

 ナルク堺(ひまわり会)訪問記
 ナルク堺は昨年、政令指定都市になったばかりの大阪府堺市を中心に活動しています。堺市は人口83万人、面積150平方KMで大阪市に隣接する大都市,歴史的には仁徳天皇陵をはじめとする多くの御陵や茶道の創始者千利休を生み、鉄砲鍛冶から包丁に至る産業で栄え、最近も石油基地や鉄鋼プラントなどで日本の産業を引っ張っています。  
大阪の南、難波から南海電鉄高野線の急行で20分足らずで中心部の堺東駅に到着します。
 早野副代表に迎えて頂いて駅から5?6分のところにある総合福祉会館2階の事務所に案内され、待ち構えておられた神田代表、大上事務局長、古野監事の皆さんと早速懇談に入りました。
 ナルク堺(ひまわり会)はナルク本部発足の約1年後、本部の設立時から関わられた神田代表を中心に設立され、今年は第13回の総会を迎えました。現在の会員数217名、時間預託点数1711、奉仕点数3506と着実に活動されています。

今迄の活動の特徴

・会員の方のご好意で設立当初から格安で事務所を持つことができ、安定した活動を展開できたのが大きい。
・時間預託活動は家事援助、庭の手入れ、移送、パソコン指導など。
・奉仕活動は福祉施設との協力関係を大切にしてきた結果、幾つもの施設で大きな成果が上がっている。
・趣味・スポーツなどの「自立と相互交流の会」はとても大切な活動と位置づけている。各施設や市民会館での「民舞の祭典」に年間延べ185名が参加、「民舞の会」(日本舞踊)やカラオケ同好会(90名),ウオーキングの会(122名)などとても活発。
・本部の福祉調査センターへの参加をいち早く始めて、賛助会員の方々のご支援も頂いた結果、収支決算は黒字となり安定した拠点運営を達成。
・これらの活動の成果として昨年度の会員数は大幅に増加。
今後はどうする
・顔の見える集団、地域に根ざした集団に変身しようと「まず地域に根ざした貢献を行う」という方針をいち早く打ち出した。
・堺市は政令指定都市施行時に7区に分けられたが福祉行政としてはまだ1体の運営である。しかしナルク堺としては既に拠点を4つのブロックに分けて地域リーダーを決め、コーディネートも自主的な運営を始めた。その結果、地域施設との結びつきが強まり、早くもあるグループホーム運営推進会議の構成員に早野副代表が参加されるまでになった。
・今年から堺市総合福祉会館に立派な事務所を借りることができた。駐車場、室料、光熱費等も格安なうえ、会議室、事務機器利用ができ、ボランティア情報にいつでも触れられる天国のような事務所である。これも地域との連携を熱心に進めた成果だった。正に「求めよ、さらば与えられん」である。
 取材当日は,リーダー研修会が行われていましたので、傍聴させていただきました。運営委員と各地区の方々が16名参加されて、コーディネートと活動の実際について研修されていましたが、報告は詳細で質疑もとても熱心で真剣な雰囲気で「さすが」と感激でした。
 皆さんの熱意と力が新しいブロック制への挑戦を必ず成功されるであろうことを確信して台風4号が近づいた堺を後にしました。(野村文夫)

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