2007年8月号  1面
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         ナルクの自立する新しいシニア像
        ボランティアの合間に趣味・スポーツも
          友達ができた 介護予防効果も

  ナルクの同好会調査注目を集める
 子育てを終えた主婦や定年退職者が中心になって、全国126の地域で拠点をつくり、事務所を設け、コーディネーターを置いて恒常型ボランティア活動を続けているNPO法人ナルクの理念は、「自立・奉仕・助け合いを通じて生き甲斐を」である。
 環境美化や子育て支援の奉仕型ボランティアと、高齢者の介護を主とした助け合い時間預託ボランティアを並立させながらも、その合間に会員同士が趣味やスポーツ・学びの同好会活動(クラブ)を各拠点で活発に進めている。ボランティアで「出会い」が得られるけれども、それをさらに確かなものにして「心の許せる地域の友」にまで高められるのが同好会活動である。
 ナルクではこのほどこの同好会活動の実態を掴むべく2回目の全国調査を行った。日本が少子高齢化社会の階段を駆け上がっている中で「生涯学習」や「介護予防」の重要性が強調されている。その視点からもこの調査資料を検証してみるべきだろう。

 同好会の種類も参加者も5年で倍増
 ナルクは2002年にも同種の調査を行っているが、それと比べると同好会の種類が118と、前回の64に比べて倍増している。また参加者数も6044人の多くに達している(前回は3745人)。 子どもの世話にならず、社会のお荷物にならないよう自立して生きていくためには、先ず健康であることと、認知症にならないように心がけることである。もちろん「ボランティアをさせてもらう」ことにより「健康と生き甲斐」は得られる。しかし週1〜2回ではややおぼつかない。それをカバーするのが同好会活動である。シニアの居場所として同好会が果たしている役割も大きいものがある。
 団塊世代の大量退職が始まったが、彼らの最大の悩みは、仕事がなくなった空白感と、「居場所がない」という寂寥感を埋められないことだそうだ。「ナルクの同好会に行けば友達もできるし、第一若返ります」という多くの会員の声は定年後、地域で社会貢献活動をしながら、新しい「出会い」を果たしたいと願っている団塊世代に新たな結城を与えるだろう。
 ナルクの同好会の特徴は趣味の会の講師やスポーツクラブのインストラクターが会員の中から得られることである。それだけナルクには多彩な経歴や資格を持った会員が集まっているので講師代なども安価で済んでいる。

 パソコンがトップ
 参加者の多い同好会ベストテンは左図の通りである。
 前回4位だったパソコンが2倍以上の参加者となり、断トツのトップになったのは、ユビキタスの世界がシニア世代にも着実に浸透していることを窺わせる。
 歩こう会(ハイキング)、料理教室、カラオケは相変わらず根強い人気がある。今回目立ったのは「健康麻雀」である。いわゆる「飲まない・吸わない・賭けない」の3原則を守ることを前提とした麻雀だが、従来の麻雀が10位であるのに対し、こちらは堂々の5位。 11位から20位は男性料理教室、絵手紙、囲碁、グルメ、農園、健康体操、歌声喫茶、俳句、蕎麦打ち、筋トレといったところ。  ベスト30までになると、手芸、園芸、トレッキング、歴史探訪、将棋、庭木などが入ってくる。

 参加者の多い拠点
 「東大阪・大東」が群を抜き、以下奈良、かずさと続くが、ベストテンは左表の通り、11位以下は「枚方・方の」「かしま」「船橋」「茂原」「釧路」の順であった。
 1位の東大阪の坂谷代表は「全国1と聞いて驚いています。つまりコミュニケーションの良さも全国1と言えましょう。パソコン教室、料理教室、健康麻雀、カラオケの4つで、ぐっと数字を伸ばしたようです」と言っている。

 種類の多い拠点
 1位の「かずさ」と2位の「奈良」が20種類を越えている。
 ちなみに「かずさ」の同好会を挙げると、パソコン、カラオケ、ハイキング、ゴルフ、グランドゴルフ、旅行、囲碁、手芸、園芸、将棋、
絵画、パッチワーク、編み物、花壇作り、釣り、大正琴、書道、詩吟、コーヒー、手話ダンス、盆栽、刃物とぎ、と実に多彩である。
 また2位の奈良には「投資塾」という変わった同好会もある。

 変わり種同好会
       全国の変わり種同好会をみてみよう。
          「歴史探訪」         (かしま・富山)
          「味噌作り」         (北見・釧路・かしま)
          「気功」            (茂原・宝塚川西)
          「ヨーガ」           (ふくい)
          「オカリナ」          (枚方交野・河内長野)
          「ハンドベル」        (埼玉西・市川・みよた)
          「寿司教室」         (船橋)
          「コーヒー教室」       (かずさ)
          「パン教室」         (日立)
          「三味線」           (水戸・市川)
          「お抹茶」           (寝屋川四条畷)
          「宝くじ購入」         (三重中央・大垣)
          「百人一首」          (富田林)
                                   などが目に付く。
 居場所づくりと介護予防 
同好会に類似した活動として「サロン」がある。全国には、サロン活動でシニアの温かな居場所作りに貢献している拠点も多い。中でも札幌の「さくらんぼあさぶ」は市の助成を受けて、パソコン教室や料理教室などを毎日開催するという本格サロンである。
 その他「豊中・池田・箕面」の「わかばサロン」や大阪の「栄養映画の会」、新しいところでは、4月にオープンした彦根の「ナルクの館」などは、広く市民にも門戸を開放し、地域に於ける高齢者の居場所になりつつあり、ナルクのPRにも貢献している。
 健康志向のクラブとしてはナルク寝屋川(かずきの会)の「早朝ラジオ体操クラブ」がある。これは当初20名の会員だけで始めたが一般市民の参加が増え、今や300人が集う会に発展、注目をあびている。この種の活動は地域のシニアの交流の場となり、改正介護保険が目指す「高齢者の介護予防」の一環になる展望をもっている。新潟県で全県的に広まっている「お茶の間づくり」のような運動と連携をもちながら、これらが高齢者の手による高齢者のための活動として定着するよう期待したい。

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