2006年11月号  1面
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 年 金 収 入 が 増 え な い の に・・・  
 税 金 や 保 険 料 が 何 倍 も 上 が る
        もう黙っておられない 行動あるのみ
 7月某日、大阪吹田市に住むFさんは生活費を引き出だしに郵便局に行った。ATMに通帳を入れ希望金額を入力すると通帳がスルスルと戻ってくる。画面には「残高不足」の表示。6月には年金も入っているし、なぜ? 慌てて通帳をよく見ると健康保険料、府市民税がいつもの3倍以上の金額が引き落とされている。
 慌てたのはFさんばかりではない。この月、全国の市町村の窓口、社会保険事務所には問い合わせが殺到した。しかし窓口からは「政府が決めたことだから」というつれない返事がかえってくるだけ。
 確かに今回のことは自民党と公明党が一昨年から行った税制改革によるものだ。しかし国会で十分審議が行われたとは言えないし、マスコミも詳しく報道しなかったことも事実だ。その結果全国に高齢者の怒りの声が渦巻いた。
 ナルクでは本誌を通じてこの怒りを募集したところ、続々投書が寄せられた。声を上げない弱者のみ負担を増やし、格差を拡大していく。こんな政治にもう我慢ができない。この怒りを、政治を変える力に高めていくことだ。
          今なぜ負担増なのか
借金まみれの国の財政再建と、超高齢化社会への対応のため、税金や年金の制度改革がこの数年相次いだ。その主な措置は控除の廃止と保険料金などのアップである。来年からは定律減税も廃止になる。「負担を公平に」という名目で、負担増は高齢者を直撃した。主な措置は下図の通り(7月26日付の朝日新聞より)。
平成16年
 1月   所得税の配偶者特別控除の上乗せ部分廃止
 4月   40歳〜65歳までの介護保険料改訂
10月   厚生年金保険料アップ開始
平成17年  1月   65歳以上の所得税の老年者控除の廃止と
      公的年金等控除見直し
 4月   国民年金保険料アップ開始。雇用保険料アップ 
     40歳〜65歳までの介護保険料改訂
 6月   住民税の配偶者特別控除の上乗せ部分廃止
平成18年  1月   所得税の定律減税半減 
 4月   65歳以上の介護保険料改訂
      40歳〜65歳も再度改訂
 6月   住民税の定律減税半減 
      65歳以上の住民税の老年者控除の廃止 
      65歳以上の住民税の公的年金等控除見直し
      65歳以上の住民税の非課税措置縮小
 10月  70歳以上の医療費自己負担額アップ

なぜ高齢者直撃

☆私にでもできる
   (豊中市 池田富美)
 税制改正で市民税が倍になった。介護保険料も大きくアップ、健康保険に至っては7万以上のアップ。病院の窓口での支払いが10月から3割負担、せめてどちらか1つならまだ許せるけど。
 76歳の夫は旧制中学卒業後、一生懸命働いてたくさんの税金を納めて、保険料も払ってきた。皆から集めたそんなお金を無駄遣いばかりして、全く許せない。「今お金がないのは老人が多すぎるから、医者通いばかりするから」とはあきれる。足りないと値上げ、これなら私にもできる。

☆果たして公平?
   (大阪市 豊島久美子) 
 公平と称して年金生活者や低所得者層からまで税金を取る仕組みは「取りやすいところから取る」と言われても仕方がない。「まず高額所得者優遇を見直す」のが順序だと考えるのは間違いだろうか。
 税制改正は、今後消費税アップなどまだまだ続く。老後の生活の見通しは暗い。為政者には創造力のある対応をお願いしたい。

小泉内閣の功罪

☆老人が安心できる国  (枚方市 福田勝博) 
 今年の3月、確定申告をしたときに悪い予感はしていた。案の定住民税は2倍になり、健康保険料も大幅に上がった。来年と再来年で定律減税20%が廃止になる。これはまともに所得税に響いてくる。原因は国の財政破綻である。しかし国のとった対策の何と安易なことか。国民の中で一番弱い高齢者を狙い打ちにしたのだ。結果は格差が広がっただけだ。新政権には「美しい国」でなくてもいいから老人が安心できる国にしてもらいたい。

☆国民に嘘はつくな  (釧路市 今井俊則)
 国民年金を40年間きちっと納め、安心して
暮らせる年金生活を約束したのに、景気が悪いからと、わずかな年金を減額する政府、国民に対する責任感というのはあるのだろうか。小泉内閣は問題の先送りが多く、無責任である。その無責任さが年金滞納者を生み、北方領土の発砲事件を生んでいる。いま総理大臣が変わる。新総理は国民に嘘をつかない政府を作ってもらいたい。

☆誰がこんな国にした  (枚方市 鈴木美枝子) 
 誰かに言いたいと思っていたらナルクが聞いてくれるという。
 今年の確定申告の時に4万円の追徴を取られた。年金だけの私が何故? 早速問題の社会保険庁へ問い合わせた。「控除がなくなり皆さんご不満のようですが、政府に言ってください」とふてくされた態度。さらに6月、介護保険料、健康保険料、府市民税の納付書がきてまたビックリ。どちらも今までの倍になっている。思わず市役所に電話。「お気の毒ですが税金の見直しがあり負担が増えたんです」の返事。
 小泉さんは痛みを分かち合って欲しいと言ったが、これでは弱い者イジメではないか。こんな国にしたのは誰だ。

知らなかった

☆行動する主婦に変身
  (彦根市 佐々泰子) 
 私は自分の介護保険料が夫の年金から差し引かれていることをつい最近知りました。何たる無知。こんな国民がいるからお役人がしたい放題をするのだと気がつきました。これからはもっと勉強して行動する主婦に変身します。

☆分かりにくい税制改正  (大阪市 謝花美枝子) 
 この夏、新聞の読者欄は「住民税の値上げ」で大賑わいだった。死活問題だと言う人やら「今さら何を言う、早くから言われていたことで、こんな政策を行う政党を選んだのが悪い」との声も。それにしても税制改正は分かりにくい。どう声を上げていいのかも分からない。

立ち上がろう

☆皆で悪法撤廃に  (豊中市 松本義男)
 ナルクは米国のAARPを手本に圧力団体を目指し、その中心的存在になるべきだ。資金が必要なら会費を4000円に戻してもいい。

☆高齢者の力を結集  (備前市 奥本志朗) 
 私は高齢者が力を合わせて立ち上がらなければ本当の高齢者福祉は実現しないと思う。ナルクのような行動力のある団体が「介護予防」などを通じて、皆で助け合う社会を目指して立ち上がろう。 

各党に公開質問状を   参議院選で白黒

ナルク会長高畑敬一
 作家の「なだいなだ」氏は、怒りを愚痴に終わらせず行動しようと、老人党の結成を呼びかけているが、その前にナルクとしては各政党に公開質問状を出して、「老年者控除全廃で負担増が何倍にもなる税制改革に賛成したのか反対したのか」
賛成した場合、
「その理由は?」 
「これ以上介護保険料や健康保険料を上げないための政策は」
などを聞き、それを見て投票態度を決めようではないか。
 高齢者の数が有権者に占める率は高く、投票率も若い人の倍以上になるので、怒りが力になる。政治は変わるはずだ。

 大阪市の65歳以上の夫婦二人で暮らす
年金生活者の住民税と国民健康保険を改
正前と改正後を比較してみた。
  (6月30日付けサンケイ新聞より)
                参照 
住民税     年額(単位:円)
年収 改正前 改正後
240万 9,600
300万 19,300 56,700
400万 55,100 94,800
500万 84,700 170,900

健康保険料  年額(単位:円)
収入
300万
平成17年 平成18年
75,274 109,959

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