アメリカではグローバル化が急速に進んでいる。
グローバル化とは、地球が一体になるという考え方を言うもので、私が特に日本人に申し上げたいことは「これから物を考える場合は地球全体の立場から考えてほしい」ということである。
インターナショナルの社会とグローバルの社会とは、随分違うもので、インターナショナル社会とは、国と国との関係を前提とした国際社会をいうもので、グローバルの社会とは国際社会を越えた地球を一体的に考える社会をいう。
アメリカの社会で一番大事なことは、新しいことを考え、人とちょっと違ったことをすることである。これが社会の活性化につながり世界一の国になる力になる。これはボランティアの社会でも同じである。世界は今やドンドン変わってきている。
グローバルな社会とはどんな社会なのか。例えばモンゴル出身の朝青龍が日本の国技である相撲の横綱になり、イチローが米国メジャーリーグのヒローとなっている。黒人の漫才師が出たり、韓国映画の俳優が日本の女性に人気があるなど、昔では考えられなかった。
世界に目を向けてみると、地球人口は63億人であるが、1位は中国(13億人)、2位はインド(10億人)、3位はアメリカ(3億人)、これに比べ日本は1億2千4百万人だが、今後ドンドン人口が減る見込みである。
今、注目のイスラム教徒は11億人から13億人、アジア人は全人口の68%程度、ロサンゼルスで話されている言葉は85ヵ国語から100ヵ国語で世界の主要言語のほとんどである。地球上で英語をしゃべる人は9%に過ぎないが、各国のオピニオンリーダーの90%は英語を話せる。
海外旅行者の数は6億8千800万人で、全人口の10%が外国を見ている。また日本の国力として現在、世界第2位の経済大国といわれているが、スイスの研究機関の調べでは49ヵ国中、国際競争力では、1998年に20位であったものが現在30位。行政効率31位、マネージメント力46位、起業精神49位とされている。
ボランティアはアメリカの歴史そのもの
これから最も大切なことは、人と人とのつながりであると思う。ナルクのことを高畑会長から聞いた時、「ナルクは大変 チャーミングな団体だ」と感じた。
さて、アメリカにおけるボランティアについてだが、アメリカのボランティアは、アメリカの歴史そのものであった。基本的には、アメリカ人はヨーロッパから新大陸へやって来ても援助してくれる者がないので、生きるためにはお互いに助け合うことが人間の知恵として生まれた。それが歴史であった。一方、キリスト教の精神により、助け合うことが生まれたとも言える。
したがってボランティア精神は、アメリカの社会にあたりまえのようにあった。例えば高校生が、大学進学や社会へ出て行く時に、ボランティア活動をやらない人は全く認めてもらえない。ハーバード大学など有名大学へ進学するのに、ボランティアをやっていない人は、優秀であっても入学できない。ここがペーパーテストのみで進学できる日本との違いである。アメリカでは、社会のリーダーとなるような人はボランティアをやるのは当たり前になっている。ボランティアをやらない人は社会的に認められないのである。
ボランティアは自分のために
そして ボランティアは他人のためではなく自分のために、自己責任でやるもので、これに比べ
日本の場合は他人のためにボランティアをしているとか、他人の目を気にするとか、自発的な意思でない人がいるように思われる。これを克服することが大切だが、ナルクは設立当初から「自分の生きがいと健康のためにボランティアをやらせて貰う」という理念をかかげている。まさに卓見で
ある。
最後に申し上げたいことは、ボランティア団体はNPOであり非営利団体と言われているが、非営利団体でもマネージメント能力は絶対に必要である。人を動かし組織を動かそうと思えば金もかかるし、いろんな命令形もあり、大勢の人をまとめていかねばならない。こうした能力を日本では無視されている。そうした能力にアメリカ人は、大変優れている。それと日本のボランティア団体では、お金のことを軽視する傾向にあるようだが、組織の維持・運営に、お金は絶対に必要なもの。この点アメリカはうまくやっている。
(まとめ・阿部国子)
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