2007年7月号  2面
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定時総会で包括支援センターと連携など新事業計画を発表
15周年記念イベントは京都でー企画実行委員会設置

  1面既報の通り、総会では新たな事業計画が承認された。新しい事業計画の基本的な考え方として、
「声かけ」「さそい合わせ」で心の通った拠点に
@ナルクで「出会いと安心と生き甲斐」が得られるよう組織運営を工夫する。その基盤として諸行事やボランティア活動、同好会活動への声かけ、誘い合わせ運動を展開する。
A地域包括支援センターとの連携を図り、介護保険枠外のボランティアニーズを開発し介護予防地域支援事業を担っていく。
B5年後、「300拠点・会員6万人」の計画を実現させ、社会的影響力のあるシニア組織を目指す。
C高齢者の自立生活を可能にし、福祉を守るための政策提言を行っていく。
D本来事業を支える企業との協働事業(生活アドバイザー)、行政からの委託事業(福祉調査センター・生き甲斐デイサービス・親子つどいの場等)を開発すると共に、これらを各拠点に広げ、内容の充実安定に努める。また自主事業として成功を収めつつある「エンディングノート」「お父さんには初めての料理本」等の出版事業にも力を入れる、等が年間活動の鑑として承認された。さらに具体的な新規の項目として
@今後包括支援センターの要支援1.2や介護予防任意支援事業の活動が増えてくるものと予想されるので、以前にナルクで実施していた「3級ホームヘルパー養成講座」の短縮版コースを実技を中心に本部で企画開発する。モデル実施の後、インストラクター養成講座を漸次拠点に広げていく。
A拠点のホームページ開設を促進し、内容の充実を目的に研修・交流会を関東・関西で実施する。
B2年後にナルク設立15周年を迎えるので、京都で記念総会をはじめ各種行事を行うが、これの企画実行委員会を設置する。

地域密着型サービスは地域に密着できるのか

                                   常務理事 青木富子
 昨年の介護保険法の改正では、適用者が地域の中で最後まで安心して暮らし続けることを制度的に保証するための抜本的見直しが行われ、地域密着型サービスが創設された。そのサービスの一つが認知症対応型共同生活介護(グループホーム)であり、もう一つが小規模多機能型居宅介護である。
 この小規模多機能型居宅介護は介護保険制度が制定される前から草の根的活動として始まった「宅老所」がモデルになっている。小規模で家庭的な雰囲気と馴染んだ人間関係の中、「通い(デイサービス)」を中心に「宿泊(ショートステイ)」や訪問など複数のサービスを提供、
 地域のお年寄りが自宅で暮らし続けられるように、必要に応じてサービスを追加し、目の前にいる人を包括的に支援することによって、結果的に多機能型になるものである。 しかし問題も残されている。利用者は1ヵ月単位で利用契約をしなければなりませんので、1日でも30日でも利用料はあまり変わらない。またこの制度を利用中は訪問介護と福祉用具以外、他の介護保険事業サービスは受けられない。
 二つ目は利用登録者数に限界があるという点である。利用者の宿泊が無い日でも毎日24時間体制を整えておかなければならないので、コスト面で大きな課題を残している。
 ナルク福祉調査センターの介護保険事業者調査を通じて、公助の在り方を、継続して監視する必要がありそうだ。



   どうして先に             小里れい子(大垣)
 去年の忘年会もいつものように盛り上げてくれた。ウイットに富んでいた彼、会報の川柳はだから人気があった。「ナルクの葬式を作ろう、僕が有り難いお経を上げてあげるから」と言っていた。「ではここでお経を披露してみて!」そう言っては皆と笑った。
 体調が悪いと1月の月例会を欠席、1週間後には1人で寝返りさえ打てない姿に。病名は胃から骨への転移ガン。奥様からの依頼で私たちも病室に詰めて2週間、あまりの早さでこの世を去った彼。今でも信じられない私たち。
 その名は「森田昌右」さん、70歳。
 ナルク大垣は不思議と皆仲が良い。通称ナルク家族と言われている。失敗あり、成功あり、泣いたり笑ったりのナルクの行事。
 森田さんの頭の中は走馬燈のようにナルクの思い出が駆けめぐっていたのだろう。私は手帳を見ながら彼の体をさすっては語りかけた。普段痛がるのにナルクの話題になると小さく声を出して面白がって笑った。そして静かに泣いていた。
 意識の消えかけるその時までナルクの人たちを呼ぶ。それにしてもモルヒネ以上にナルクの思い出話が痛み止めの特効薬だったとは。
 一人息子さんから「ナルクに関わった父は幸せ者でした」とお礼を言われた。そして「ナルク葬式をしてもらいたい」とも。何?なに? 「そんなことはしませんよ」 家族にも話していたらしい。
 ナルク葬儀の企画を誰にも披露せずに、発案者の本人が一番先に逝ってしまうなんて。「このごろ地獄行きの人が多く、なかなか天国へは行けないらしいよ。運がいいよ僕は。預託点数がたくさんあるから行けるらしい」。そんな彼の声が携帯から聞こえそうです。
 本当にナルクの仲間が好きだった森田さん、最後を委ねてくださった奥様、ナルクの仲間は皆感謝しています。長い間ご苦労様でした。有り難うございました。
 これからも時間預託ボランティアという軸で日々を重ねるナルクのメンバーを心から大切にしていきたい。それがナルク生活10年目を迎える私の決意です。


 
      社会格差に対する生活者の意識@
 小泉政権が残した社会格差、一般的な市民生活者にも、格差を感じる雰囲気になっています。電通総研が実施した「社会格差に対する生活者の意識調査」の中から、年代別・男女別に市民がこの問題をどう感じているのかを探ってみます。(白石勝也)

 1格差を実感しても人生を楽しんでいる生活者 男性30代はややネガティブ
 格差が人生の決定要因として強く作用すると考えたが、現段階では格差が人生と結びついているとは言えない。格差の実感計が7割以上あるものの人生を楽しんでいない計は最も多い男性50代でも2割程度。しかし男性30代は格差を最も感じ人生を楽しんでいるが少ない。

 2個人年収と格差の実感や人生を楽しむことの相関は低い
 年収200〜300万円の層が「格差を感じる」との答えが高いが、この層は非正社員が多いのもその原因かもしれない。全体としては年収との相関関係は低いと言えよう。

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