2007年7月号  1面
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ボランティアポイント制(新聞報道)で波紋
ナルクの総会でも質問続出

 ナルクの第12回総会・全国代表者会議は5月25日に本部からほど近い大阪中央区の「阪産業創造館」で126名の参加を得て開催された。
 議長に高橋度正会員を選び、2006年度事業報告と決算報告が行われ、活発な質疑応答を経ていずれも承認された。このあと2007年度の事業計画と予算、および組織拡大5ヵ年計画が提案され満場一致で決定をみた。

厚労省の通達をもとに統一見解を確認
 地元行政へ積極的アプローチを
某日刊紙が報じたボランティアポイント制に質問続出

 総会はこのあと新年度事業計画の「基本的考え方」と主な新規事業の審議に入ったが詳細は2面に掲載した。 会議の中で「4月29日付けで某日刊紙が65歳以上の高齢者が施設や地域支援事業で介護ボランティアをした場合、それをポイント化してそれで介護保険料が払える制度を厚労省が考案し、全国市町村に普及させる方針と報道しているが、ナルクの時間預託とバッティングしないか、また我々のポイントは活用されないのか」という緊急質問が枚方の野村文夫正会員、東横浜の中島豊次正会員より相次いで提出された。

本部 統一見解と今後の取り組みを表明  

 これらの質問に対して高畑会長が本部を代表して「新聞報道を見て直ちに厚労省に問い
合わせるとともに、5月7日付けで出された課長通達を入手した。また枚方市をはじめ、いつかの市や地域包括支援センターの見解を質してきた」と前置きして、次のような統一見解と今後の取り組みについての態度を表明、総会全出席者がこれを確認した。
@新聞記事は少しフライングしている。この件は東京都稲城市から、かねて厚労省に実施したい旨、特区申請していた内容のうち、その一部を修正して認めるとともに、各市町村の裁量で、介護保険ボランティア活動を推進する事業として実施可能であることを、明確にしたものである。
A介護保険料が減額または免除されるのではなく、高齢者が介護施設や地域支援事業で要介護者への介護予防に資する支援ボランティを行ったときに、ポイントが付与され、それに相当する額の範囲内で管理機関が保険料として支払うことができるというもので、稲城市の例では5000円程度になりそう。
B今回の制度は介護予防の「地域支援事業」の一環として行われるものであり、財源として地域支援交付金が充てられる。市町村によっては介護予防を担う地域包括支援センターの予算不足という所もあり、また現在、一般高齢者の介護予防にまで手が回らない包括支援センターが多いので、実施される所は限られるか、実施できても1〜3年先と、かなりバラつきが予想される。
Cナルクとしてはかねてから高齢者の介護支援ボランティア活動を通じて、社会参加、地域貢献を行いながら、高齢者自身の健康と生き甲斐を得ることを、時間預託(ポイント交換)をツールとして全国的にすすめてきた。今回の厚労省通達は、ナルクの理念、活動のシステムに全面的に合致するもので歓迎する。ナルクの各拠点が自主的に管理している介護施設や在宅介護でボランティアした個人別点数も、管理機関を通して把握するポイントと同様に、認めてもらいたい。
Dナルク各拠点は、過去13年間、時間預託システムを実施してきて、個人別ボランティア実績の評価、管理のノウハウを持っており、今回市町村が定める管理機関の業務を担って、この制度の円滑な進行に貢献したい。
E各拠点は、所在する市町村の担当部門に出向いて、厚労省通達に対する市町村の対応を把握すると共にCDについては実施できるよう粘り強く折衝されたい。但し管理機能を担う力のない拠点はDについては申し出しない。

5月7日付厚生労働省老健局介護保険課長
・振興課長の通達要旨

  各都道府県介護保険主管部(局)殿
     介護ボランティア活動への地域支援事業交付金の活用について

 少子高齢社会が進展する中で、高齢者が介護支援ボランティア活動などを通じて社会参加、地域貢献を行うと共に、高齢者自身の健康増進も図っていくことを積極的に支援する施策が求められているところである。
 こうしたことから、今般、地域支援事業実施要項を改正し、下記の通り市町村の裁量により地域支援事業として、介護支援ボランティア活動を推進する事業を行うことが可能であることを明確化したことから、貴都道府県内市町村など関係方面への周知徹底に遺漏なきよう配慮されたい。
                          
 1具体的な実施方法
  地域支援事業交付金を活用し、おおむね次のような枠組みにより、介護支援ボランティア活動 を推進することが可能である。なお、これはあくまでも介護予防事業の一例であり、任意事業と しても実施可能であることから、具体的な事業の実施に当たっては、各市町村において最も適切 な実施方法を検討されたいこと。
 (実施スキームの1例)
   高齢者の社会参加活動を通じた介護予防を推進する観点から、高齢者が介護施設や在宅等において、要介護者等に対する介護予防に資する介護支援ボランティア活動を行った場合に、市町村は当該活動実績を評価した上で、ポイントを付与する。
   こうした支援活動については介護予防事業のうち一般高齢者施策として、地域支援事業交付金の対象になるものであり、市町村は市町村が定めた管理機関に一括して交付金を支払う。
   管理機関は支払われた地域支援事業交付金を管理すると共に、支援活動の参加者のポイントを管理し、当該参加者からそのポイントを介護保険料支払いに充てる旨の申し出があった場合については、当該申し出に応じて、その管理する資金から当該参加者の蓄積したポイントに相当する額の範囲内で換金し、当該参加者に代わってその額を市町村に対して当該参加者の保険料として支払うことができる。
 2留意点
 ○ 上記スキームを実施した場合、結果的に支援活動参加者の保険料負担は軽減されることになるが、保険料賦課事態を軽減、または免除するものではないこと。
 ○ 介護予防に資する支援活動の基準については、地域支援事業交付金の交付対象の範囲で、各市町村において適切に判断されたいこと。

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