2007年6月号 1面

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給付水準維持・公平な負担社会保障・税制  −どの党がやってくれる−

真剣に考えているのはどの党か

 ナルクでは昨年11月、本紙において高齢者の怒りの声を特集した。
高齢者に対する所得税・地方税の控除が廃止され、医療費の患者負担増、それに加えて年金から天引きされる介護保険料が大幅に引き上げられ、合計すると多い人で対前年比2〜3倍の公的支出を強いられた。
巷には高齢者の「怒りの声」「恨みの声」が広がっていたのでそれを数量的に確かめるために全国的アンケートを実施、その結果を踏まえて公開質問状を作成した。
 3月26日、国会を訪問、
各党代表へ質問状を手渡し、4月末日までに回答するよう求めてきた。
 5月の連休明けから次々と各党の回答書がナルク本部に寄せられ、国民新党を除く全ての政党の回答が出そろったので、一覧表にして公表する。
 年金・健康保険・介護保険の給付水準維持を真剣に考えているのはどの党なのか。またそのために負担増を考えなければならないとき、弱い高齢者にのみそれを求めるのではなく、国民全体が所得に応じて公平に税金や保険料を納める政策を約束する政党はどこなのか。
 公開質問状に対する各党の回答を参考に、7月の参議院選挙で審判をくだすよう広く高齢者に勧めていきたい。

回答の内容

 質問の内容は本紙4月号1面に掲載されたように3点あり、端的に○×で賛否を答えることとしているが、例えば「問@」の年金では50%の水準維持は賛成だが原資として消費税を上げるのは反対という場合は二者択一で答えるのは難しくコメントを書いてきているので、3つの「問」を質問項目毎に分解し○×を当方で判断して紹介した。なお賛否いずれにも属さないコメントは内容を要約し△を記した。

多世代共生をコンセプトに
NPO法人ナルク会長 高畑敬一

 大阪大学堤修三教授、国際高齢者医療研究所岡本祐三所長、大阪府人権擁護委員長小畑雄治郎弁護士に協力をいただいたアンケートを基に、今後の日本の社会保障と税制の在り方についてナルクの政策提言書を作り、それを公開質問状にして各政党に回答を求めてきた。
 その心はナルクの会員はもとより全ての高齢者の鬱積している不満をぶっつけ、将来に対する不安を除去するというものであった。
 私が公開質問状を持って回ったとき「この種のものは年間数千件もあって、いちいち答えきれない」とすげない応対がいくつか見られたが、民主党の平野国対委員長代理の熱心な働きかけもあって、回答を引き出すことができた。まずは各党の誠意ある態度に感謝したい。
 アンケートに見られるように高齢者の大半が年金のみで生活しており、月々の生活費は「かなり不足」「少し不足」と答えた人が全体の87%に上っている。彼らの最大の願いは「年金給付水準を維持する」ことである。それがあって始めて「子どもの世話にならず社会のお荷物にならず」自立していける。そしてナルクの会員のように「ボランティアで社会に貢献」し健康と生き甲斐が得られる。
 年金が減り保険料の自己負担が引き上げられては「自立」「社会貢献」どころではなくなる。だからといって若い人たちだけに負担を強いるのではなく、「消費税率の大幅アップ」に賛成して、自分たちも応分に負担していこうとしているのである。高齢化が進み、少子化に歯止めがかからなければ、多世代共生社会を築き上げるしかない。シニア社会学会が提唱する「老若共同参画社会」も同様の趣旨である。
 このような国民的コンセンサス作りをどの政党が真剣に考えているか。回答一覧表を見て判断を願いたい。そして選挙で実行に移すことである。賢い強い高齢者になろう。

各政党の回答一覧 (国民新党は未着)

年金制度は法制化されている「現役世代収入の50%」を堅持すると共に、国民年金 基礎年金(厚生年金)の給付額を月額12万円程度に引き上げ、原資については消費税を10%とし所得税の累進課税を50%以上に引き上げる

生活困窮者の医療費を無料にすると共に低所得高齢者に対する高額医療費の自己負担限度額を引き下げる

介護保険第2号保険者を20歳から64歳までとすると共に、第1号保険者の所得に応じた保険料割合を引き下げる

現役世代収入の50%給付を堅持する 国民年金等の給付は月額12万程度に引上げ 消費税を10%に 累進課税率を50%以上に 生活困窮者の医療費を無料に 低所得高齢者の高額医療費自己負担限度額を引き下げ 第2号保険者の保険料を現行40歳〜64歳を20歳〜64歳に 第1号保険者の所得に応じた保険料割合を広げ低所得者は引き下げる
回答なし 回答なし  △
平成19年を目途に抜本的改革を行う
同左 ×
高齢者の医療費は若い人の5倍になっているので、応分の負担を

限度額の引き上げを行ったが低所得者については据え置いた

現行制度でも市町村の判断でできる
回答なし 実質的には消費税10%所得税最高税率50%でも不足
生活保護世帯は実質無料になっている

自己負担限度額の軽減に努力してきた、今後も努力する

現在検討中
回答なし

国民年金を含めた公的年金の抜本改革

給付が一定額を下割らないよう最低保障をする

今後検討する

現在の月額15,000円が妥当か否か改めて検討する

但し不適切なサービス提供の改善を勘案してから
回答なし

まず夫婦で10万円から
×
道路特定財源6兆円を

支払能力に応じた負担を
×
国庫負担を25%から3%へ

定律制(所得比例)
多数段階に

公的年金の一元化

将来方向として賛成、1人最低8万円から
×
飲食食料の消費税額戻しが前提

最高税率・税の刻みを1999年の改正前に

方向として賛成
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