高齢者疑似体験プログラム「うらしま太郎」
WACが開発した高齢者疑似体験プロクラム「うらしま太郎」は、竜宮城から帰ってきた浦島太郎が玉手箱を開けると、あっという間に年をとって白髪の高齢者になったように、耳栓や特殊眼鏡、サボーターなどのクッズをつけることによって、自分の現在の年齢から一挙に85歳くらいの高齢者になったときの状態を疑似的に体験しょうというものである。 カナダ等で行われてきた研究を、参考に、日本人の体格や生活様式に合わせて独自に開発したブロクラムである.
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大きく3つの目的
1.高齢者の心を推察する
グッズをつけることによって、手足が上げにくかったり屈伸がきかなくなったりする。
耳が遠く目も白内障のためかすみ、見えにくい。そうした身体機能の低下 を体感することを通して、高齢者の心理状態を推測し、高齢者を理解したり気持ちを汲み取るための一助とする。
2.介助者の役割を理解する
実際に自分が「高齢者」を体験してみると、介助される側、介助する側にも個人差があることに気づく。疑似体験では高齢者や介護者の役割を通して、介護者として、どうサポートするのが適切なのか、自分なりのノウハウを見つけるきっかけとする。
3. バリアフリーの環境づくりを推進する
疑似体験を通して「高い位置に設置された信号機や時刻表は見えにくい」、「自動販売機に硬貨を入れにくい」などといったことがわかるだろう。この体験をもとに、バリアフリー、ユニバーサルデザインの社会環境づくりを推進していくための方策を見つけてゆく。また、高齢者に優しい商品、サービスの開発にも役立ててゆく。
疑似体験の流れ
体験に臨む際の注意点・心構え
いま元気で居るからといって、手足につける重りを無理やりに力を入れて動かしても意味が無い。それでは単なるストレッチ体操になってしまいます。
高齢者体験はあくまでも自分が80歳や90歳になったときの心身の状況を体験するものである。「80歳や90歳になった」という自己暗示をかけて臨むことがたいせつです。(高齢者になりきる)
なお、介助者は基本的には自立支援を目的とするので、体験者に必要以上に手を出さないことが大切です。
一方、観察者は「体験者の様子はどうか」「介護の仕方は適切か」などをしっかり観察し、後刻助言すると共に、体験時間の調整をはかる。
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体験メニューとその方法
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3人1クループ 体験者、介助者、観察者(順番に交代する)
体験者・・・・・・装具を着けてプログラムのメニューを体験する
介助者・・・・・・体験者のし難いこと、出来ないことを手伝う
観察者・・・・・・体験者の様子を観察すると共に時間の管理をする
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装具の装着 インストラクターの様子により装着(特にメガネは注意する)
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体験の開始 プログラムを封筒から出して声を出してクループの人に
判るように読む
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コーナー体験 =下記は例=
『室内』 |
1、書式記入コーナー |
申請書・申し込み用紙への記入(アンケート用紙) |
2、買い物コーナー |
チラシによる買い物、印刷物が見えるか、財布 からの小銭の出し入れ |
3、色彩コーナー |
老人性白内障による色の変化・メガネを透して見る |
4、飲み物コーナー |
ベットボトルの栓開け紙コップで飲む、缶ジュース・プリンの飲食 |
5、パジャマコーナー |
パジャマ着脱、ボタンの大きさ・はめやすさ・はめにくさ |
6、新聞コーナー |
紙面記事の中から目的のものを読み取る(テレビ番組欄など) |
7、豆箸コーナー |
箸の使い勝手(割り箸、塗り箸、柳箸〉 |
8、トイレ |
和式・洋式の使用感 |
9、ガスコンロコーナー |
ガスの点火、炎の確認(大きくしたり、小さくしたり) |
『室外』 |
1、階段昇降 |
手すりを使う、杖のみで昇降(介助者の位置) |
2、エレベーター |
操作盤・階の表示などの見え具合、ホタン操作 |
3、交差点横断 |
信号の確認(色・点減)自動車のスピード感、周りの看板などの表示 |
4.車椅子介助 |
老老介助時の車椅子介助(観察者を乗せる) |
5.自動販売機 |
飲み物の表示、お金の入れ具合、おつりの回収 |
6.公衆電話 |
テレフォンカードによる利用、老人性難聴の聞き取り |
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そ の 他 プログラムの運用など
疑似体験を通して分かる高齢者の心身の状態
(1)視覚 |
(2)聴覚 |
(3)触覚 |
(4)嚥下機能 |
(5)心理面 |
目が見えにくい、耳が聞こえにくい、
手足が思うように動かせないし痛い・・・と
なるとだんだんブルーな気持ちになり、
精神的な「阻害」 「疎外」 の生活環境に
追いやられかねない。
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この高齢者疑似体験「うらしま太郎」を通して、高齢者の身体の状況、心理状況をからだで実感していただき、高齢者に優しい商品、サービスの開発、環境・社会づくりに役立てていただければ幸いです。