2006年9月号  1面
ボランティアNPO活動における
日本とアメリカの違いは

               ナルクUSAとの交流会

 毎年1回実施しているナルク研修観光を兼ねた海外旅行、今年はスタートしたばかりの「ナルクUSA」との交流を中心に、ロサンゼルス、ラスベガス、メキシコで8日間を過ごした。この中で最大の研修はロサンゼルスに住む元読売新聞記者の北岡和義氏の講演であった。
 講演会は6月21日ロスのホテル・ニューオオタニで日米80人のナルクメンバーの他に海部領事などの来賓を前にして行われた。講演は先ず進んでいるアメリカのグローバル化の現状と、遅れている日本のそれとを液晶ビジョンの映像で分かりやすく比較したあと、日米のボランティアやNPOの歴史的違いに話が及び、今後の日本のボランティア、NPOのあり方に大きな示唆が与えられた。

北岡和義氏の講演より

 アメリカではグローバル化が急速に進んでいる。
 グローバル化とは、地球が一体になるという考え方を言うもので、私が特に日本人に申し上げたいことは「これから物を考える場合は地球全体の立場から考えてほしい」ということである。
 インターナショナルの社会とグローバルの社会とは、随分違うもので、インターナショナル社会とは、国と国との関係を前提とした国際社会をいうもので、グローバルの社会とは国際社会を越えた地球を一体的に考える社会をいう。
 
アメリカの社会で一番大事なことは、新しいことを考え、人とちょっと違ったことをすることである。これが社会の活性化につながり世界一の国になる力になる。これはボランティアの社会でも同じである。世界は今やドンドン変わってきている。
 グローバルな社会とはどんな社会なのか。例えばモンゴル出身の朝青龍が日本の国技である相撲の横綱になり、イチローが米国メジャーリーグのヒローとなっている。黒人の漫才師が出たり、韓国映画の俳優が日本の女性に人気があるなど、昔では考えられなかった。 
 世界に目を向けてみると、地球人口は63億人であるが、1位は中国(13億人)、2位はインド(10億人)、3位はアメリカ(3億人)、これに比べ日本は1億2千4百万人だが、今後ドンドン人口が減る見込みである。

 今、注目のイスラム教徒は11億人から13億人、アジア人は全人口の68%程度、ロサンゼルスで話されている言葉は85ヵ国語から100ヵ国語で世界の主要言語のほとんどである。地球上で英語をしゃべる人は9%に過ぎないが、各国のオピニオンリーダーの90%は英語を話せる。
海外旅行者の数は6億8千800万人で、全人口の10%が外国を見ている。また日本の国力として現在、世界第2位の経済大国といわれているが、スイスの研究機関の調べでは49ヵ国中、国際競争力では、1998年に20位であったものが現在30位。行政効率31位、マネージメント力46位、起業精神49位とされている。

ボランティアはアメリカの歴史そのもの
 これから最も大切なことは、人と人とのつながりであると思う。ナルクのことを高畑会長から聞いた時、「ナルクは大変 チャーミングな団体だ」と感じた。
 さて、アメリカにおけるボランティアについてだが、アメリカのボランティアは、アメリカの歴史そのものであった。基本的には、アメリカ人はヨーロッパから新大陸へやって来ても援助してくれる者がないので、生きるためにはお互いに助け合うことが人間の知恵として生まれた。それが歴史であった。一方、キリスト教の精神により、助け合うことが生まれたとも言える。
したがってボランティア精神は、アメリカの社会にあたりまえのようにあった。例えば高校生が、大学進学や社会へ出て行く時に、ボランティア活動をやらない人は全く認めてもらえない。ハーバード大学など有名大学へ進学するのに、ボランティアをやっていない人は、優秀であっても入学できない。ここがペーパーテストのみで進学できる日本との違いである。アメリカでは、社会のリーダーとなるような人はボランティアをやるのは当たり前になっている。ボランティアをやらない人は社会的に認められないのである。

ボランティアは自分のために
そして ボランティアは他人のためではなく自分のために、自己責任でやるもので、これに比べ
日本の場合は他人のためにボランティアをしているとか、他人の目を気にするとか、自発的な意思でない人がいるように思われる。これを克服することが大切だが、ナルクは設立当初から「自分の生きがいと健康のためにボランティアをやらせて貰う」という理念をかかげている。まさに卓見で
ある。

 最後に申し上げたいことは、ボランティア団体はNPOであり非営利団体と言われているが、非営利団体でもマネージメント能力は絶対に必要である。人を動かし組織を動かそうと思えば金もかかるし、いろんな命令形もあり、大勢の人をまとめていかねばならない。こうした能力を日本では無視されている。そうした能力にアメリカ人は、大変優れている。それと日本のボランティア団体では、お金のことを軽視する傾向にあるようだが、組織の維持・運営に、お金は絶対に必要なもの。この点アメリカはうまくやっている。
                                             (まとめ・阿部国子)

日本とアメリカはどう違うか
日 本 アメリカ
@2000年の長い歴史がある
A同一文化である。

B国土は小さな島国である。
C価値観は皆で仲良くすることである。


D国や地方自治体に頼る。
E行動基準は減点主義
(マイナスを恐れる)
F職業について
 最高級の大学へ行って、大企業へ就職希望。
G開放性:外部に対して閉鎖的である。

H仕事:事業に失敗することを非常に恐れる。
@230年の短い歴史である。
A他民族文化である。

B日本の25倍の大陸である。
C他人と違ったことをすること。
(違ったことをやりたがる)

D民間・自己責任の社会である。
E一つ一つ実績を積むことで評価される。
Fベンチャービジネス指向。
   (新しいことをやりたがる)
G外部に対して非常に開放的である。
H失敗は成功の基という格言通りの考え。

北岡和義氏の略歴

 1941年の岐阜県生まれ。読売新聞退社後74年に渡米、日米間の様々なニュースをテレビ、雑誌などでリポートしている。87年ジャパン・アメリカ・テレビジョン(JATV)設立、代表取締役を経て現在は顧問。96年在外投票制度訴訟原告団副団長。著者に「ドキュメント選挙戦〜その人脈金脈の舞台裏」ほか多数がある。


             2006年9月号2面

拠点誕生のエピソード

愛・サンサン  大分の巻

 ナルク大分の設立総会は7月8日、市内のコンパルホールで開催された。
 事前に地元の大分合同新聞が大きく取り上げたので、吉田志津子代表もビックリの90人を超える出席者で会場は満員。 佐藤副代表が朗読した愛称の発表は感動的だった。
 「人と人とのつながりは愛であると信じます。気負うことなく、ただひたすら愛の心をもって、自分のできることをお互いに助け合い、励まし合って明るく心豊かな仲間づくりの輪をひろげていきたい。そんな願いを込めて『愛・サンサン』と命名しました」 今後の活躍を期待。

全国最年少代表  倉敷の巻

 倉敷は7月23日誕生した一番新しい拠点で、代表の三上雅也氏は新進気鋭、36歳のファイナンシャル・プランナーである。もちろん全国最年少代表である。
 元々弁護士、税理士を集めて「知恵の輪」というボランティア団体を作っていたが、エンディング・ノートに触れたのが、ナルクとの出会いであった。仲間の数人が「知恵の輪で資産については安心だけど、これから自分と妻の体は誰が面倒を見てくれるのか心配だな」と言い出したのが拠点立ち上げのきっかけであった。
 それから設立総会までは無我夢中だった。三上さんをはじめ皆仕事をもっているため、時間がとれないのが最大の悩みだった。会員の募集、説明会、総会の準備など必死の努力が続いた。
 「本部の藤岡さんの熱意がなければ、ここまでこられなかったと思います。設立総会は台風のような雨でしたが何とか無事に終わり、ホッとしています」と若き代表は述懐する。 


女性の視点

 

 老健施設やグループホーム、デイホームに活動に行くと、男性の入所者や通所者が何もすることがなく、ただボーっとテレビを見ている姿をよく見かけ、とても気になります。中には一人コツコツと切り絵をしていらっしゃる人、お手ふき用のタオルをクルクル巻く作業をしている人などもいらっしゃいますが、多くの方は毎日3食のご飯と1週間2回の入浴、皆でやる体操、ゲームなどの他、何もすることなく退屈そうにしています。
 読書・囲碁将棋・園芸など何でもよいから何か趣味を持たれたらいいのにと思います。また男性ボランティアがもっとたくさん施設に入って、お話し相手や趣味のお相手をして差し上げたらよいのにと思います。
 65歳を過ぎて健康な人はどんどんボランティア活動をすべきだと思うのです。地域や自治体で、仲間とあるいは一人で、できる時にできる範囲でボランティアを心がけるべきだと思います。施設訪問だけでなく、地域には河川敷や公園の清掃、草取り、学童の見守りなどたくさんやるべきことがあります。
 欧米では、会社の社長でも休日にはボランティアをされている方が多いと聞きます。マイクロソフトのビル・ゲイツさんは、50歳で引退し慈善活動に専念するそうです。「ビル・アンド・メリング・ゲイツ基金」は約3兆3千億円、エイズ対策や貧困解消に1兆円を既に寄付しているそうです。儲けたら寄付するのが米国、儲けたらその分多く税金を払うのが日本だそうです。村上世彰さんなどに比べ、ビル・ゲイツさんの何とも恰好いい生き方ではありませんか。
 私は60歳の時、東京農業大学成人学校に入学しました。有名な教授の講義を聞き勉強する傍ら、必須科目にクラブ活動がありましたので、そこで人生はじめての油絵をやりました。卒業して10年になりますが、その時の仲間11人と春と秋にスケッチ旅行を続けています。もう20回になりました。2年に1度展覧会も開きます。
 その農大卒業生はみな65歳以上、中には80歳の人もいますが、新宿御苑・砧公園・東大小石川植物園・子供の国などにたくさんの人がボランティアに行っています。私は月2回朝7時に家を出て横浜から2時間かけラッシュの電車に乗り、草取りに行きます。広い庭園で気のあった仲間と1つの目的に向かって作業をするのはとても清々しい気持ちになります。この先いつまでも続けられたらいいなと、いつも思っています。

                                 近藤道子(横浜)


生涯学習センターニュース

@文章教
 北は釧路、南は小倉 まで全国49名が参加。
 講師との熱のこもった文通が始まった。
10月まで7回の通信講座(担当・山田)

A口腔ケア出前講座 別掲記事参照
 介護予防(無償)
 拠点定例会に最適
 ウエルテック社協賛  
      (担当・中島)

BJ&Bコーラス
 第2,4金曜13
 大阪産業創造館15

C劇団ナルク
 第2,4金曜13時半
 大阪産業創造館15
 男女劇団員募集   
     (担当・茶谷)

D司馬「街道を行く」
 9月24日(日)
 山辺の道(三輪山・大上神社)
   (担当・桜木)

Eシニア・ケアメイク
 化粧療法出前講座
 パピリオ社協賛
 無償(担当・安藤)


口腔ケア

口の健康で認知症予防

 歯周病による炎症で歯茎などの破壊が進んでいる人ほど脳血管障害を起こしやすく、認知症になりやすいことが判明した。発表したのはぼけ予防協会の調査委員会(委員長:渡辺誠東北大教授)。同委員会は研究の結果「歯周病の予防が認知症の予防につながる可能性がある」としている
(毎日新聞より抜粋)。
口の中の健康にもっと注意をはらいたいもの。「口腔ケアで歯周病を改善し、認知症を予防しましょう」とナルクの担当者も話している。


          2006年9月号  3面

怒りの声募集!    高齢者の声を
                反映させよう

住民税が3倍になった! 健康保険料も2倍に

毎年6月に住民税、健康保険料の決定通知が来るが、今年は住民税の見直しで、従来の2倍、3倍という通知が来たという高齢者が多い。国民健康保険料も大きく上がり、大阪市のように算定方法を見直した所もあり大幅値上げが高齢者を直撃している。 
 これは税制改正により65歳以上に適用されていた控除が廃止、もしくは縮小されたためだが、1割2割の値上げなら分かるが、2倍3倍という値上げは納得がいかないというのが大方の意見のようだ。
 加えて介護保険料も予定通り値上げされ、医療費も上がり、家計に与える影響は深刻だ。

 編集委員会では今回の値上げに対する怒りの声を全国から募集、特集を組む予定でいる。怒りの声が多ければ、各政党に公開質問状を出す計画もある。
 なるべく400字以内で、ナルク本部「編集委員会」宛てに8月末日までに多数寄せていただきたい。皆の力で政治を変えよう。

記者レポート

ひたち ビーチクリーン・キャンペーン

 「名も知らぬ遠き島より、流れよる椰子の実一つ・・・」
 ご存じ島崎藤村の「椰子の実」はこの近くの海岸を歌った曲である。今年も7月8日と9日早朝から12名が参加して、河原子海岸と水木海岸の清掃を行った=写真。 昨年は海草の残骸が大半だったが、今年は3キロメートル離れているのに、どちらの海岸も殆んどがヨシズのくずだった。
 どうしてヨシズのくずが海岸一面に打ち上げられているのかは謎。来年は何が流れてくるか、楽しみだ。

   (佐川せつ美)

筑 豊 映画サロン誕生

 最近映画館に行ったことがない、という人が多いのでは。とくに一人で映画を見に行く機会はなかなかありませんね。
 そこで我が拠点では「みんなで映画を見に行こう」というサロンを立ち上げました。
 飯塚の某映画館に賛助会員となっていただき、サロンの会員は千円で映画を見れるように交渉しました。
 映画を楽しんだ後は、2階の居酒屋で映画の感想などを語り合います。きっと話が弾み、ナルクのこと、最近の世相にまで話が発展することと思います。
 これも一つの自立活動と思い、力を入れていきます。如何ですかあなたの拠点でも。

    (池田静子)

拠点リレー訪問Q

ナルクながの訪問記
 訪問予定だった7月18日は、長野県で大雨が降り、やむなく中断。その間岡谷市などで大きな災害が起きました。天候が回復した26日に改めて訪問しましたが快晴で豪雨が嘘の様な好天気、しかし中央線沿線では濁流が流れ、近くに迫る山々には土砂崩れが散見され、駅の構内にも土砂が流れ込んだ跡が残っていて大雨の怖さを感じたことでし
た。
でも林檎や葡萄の畑でもう青い実が大きくなっているのどかな風景が広がっていてほっとしました。
 さて、長野県には「東信州・みよた」、「信州・さかき」、「信州・まつもとだいら」の合わせて4拠点がありましたが6月に「NALC飯山」が新しく誕生、現在5拠点が活動しています。
 「ナルクながの」は原田代表、岡田、大平(おおだいら)両副代表が中心になって2006年6月に101番目の拠点として誕生し長野市を中心に活動しています。2年間ではやくも設立時の会員50名から会員120名、70所帯に成長しています。
 原田代表の『活動の活性化は会員同士の親睦から』という方針でお花見、ゴルフ、忘年会なども盛んに開催していますが、時間預託活動では草取り、庭木選定、年賀状作成などのほか長野らしく「りんごの袋はずし」もあり、奉仕活動は車椅子ボランティアでお花見、紅葉狩
りや
長野市(中央通り)の歩行者天国の後の清掃など、色々チャレンジされています。
 しかし、活動時間数がまだ少ないのでもっと増やしていくことが大きな目標です。
 そのほかの大変特徴のある活動を幾つか挙げましょう。

〇福祉的環境整備まちづくり報告 
 高齢者疑似体験や福祉的環境整備まちづくり実態調査などを行って、ユニバーサルデザインを「まちづくり」の基本に!と提案、段差の解消、点字ブロックの設置場所、「物を置かない」の表示板などを具体的にマップで示しての提言などで、長野市から17年度の補助金を受けました。
 この活動で行政の信頼を得られ、今後の「ナルクながの」の活動に大いに役立つことになると思います。

〇「ふれあい教室」
 寝たきりにならないで元気で「健康寿命を延ばそう、そして笑える人になろう」という主旨で昨年度まで長野市の主催だった「ふれあいリハビリ教室」を「ナルクながの」の「ふれあい教室」として再発足、毎月2回65歳から85歳の約20名の方々とともに篠ノ井公民館で開いています。座ったままで音楽に合わせて実施する神経の分散を目的にした有酸素運動、健康体操を前半1時間、後半1時間は健康マージャン、折り紙、手編み、オカリナ、など好きなことをして頂いて元気になって帰っていただくユニークな活動です。

○福祉情報  
「介護サービスの情報公開」に関しても、縣から指定調査機関として認定を受け、9月から調査活動が始まります。当面は7名の調査員でスタートしますが将来は、全県的に調査員を配置し、長野県内の各拠点の財政基盤確立に役立てたいと考えています。

○悩みは事務所
 このように「ナルクながの」は様々な活動を精力的に着実に企画し実行している活力ある拠点ですが悩みは小さすぎる事務所です。長野市が提供している共同事務所の一角の事務所はちょっと小さい。次の発展のために事務所の獲得の手を打っているとの原田代表の頼もしいお話を聞いて一安心、「ナルクながの」の今後の発展を確信して帰途につきました。   

○悩みは事務所
 このように「ナルクながの」は様々な活動を精力的に着実に企画し実行している活力ある拠点ですが悩みは小さすぎる事務所です。長野市が提供している共同事務所の一角の事務所はちょっと小さい。次の発展のために事務所の獲得の手を打っているとの原田代表の頼もしいお話を聞いて一安心、「ナルクながの」の今後の発展を確信して帰途につきました。   

(野村文夫)

おもしろ京都学

 嵐山の堰川にかかる「渡月橋」は、嵐橋とも呼ばれ周辺の風光明媚な景色に見事に調和しています。 平安時代の初めに空海の弟子の道昌によってかけられた当時は、朱塗りで法輪寺橋とも呼ばれていました。
「渡月橋」という名は、亀山上皇が夜空の月がさながら橋を渡るように見えるさまを見て「くまなき月の渡るに似る」と感嘆したことによります。実際に大堰川の左岸を渡月橋の少し上流から見ると、月は橋の左手からのぼり、段々と高さを増しながら、ゆっくりと橋を渡って行くように見えます。   たまには京にお越しやす。


           2006年9月号 4面

読者の広場

随 想 評価員としてのグループホーム訪問

 この度、ナルクが滋賀県のグループホーム外部評価員の資格取得を目指すと言うことで、私もその一人としてにわか勉強をしてきたが、その最後の締めくくりとして現場実習をすることになった。つまりグループホームを訪問し、その実態をヒヤリングしたり、自分の目で確認する訳だ。
 私はYさんとペアになり、大津市黒津にある「マザーレイク」という施設に行くことになった。ここは要介護1〜4までの認知症の方16人が生活されている施設である。
 散歩などで通い慣れた場所だが、恥ずかしながらここにグループホームがあるのは知らなかった。そして驚いたことに辺りに「グループホーム建設反対」の横断幕が掲げられている。ホームの方の話によると、設立当初は周辺自治体からも反対を受けたそうだ。その後、建設の意義や在り方など熱心に説得した結果、今ではむしろ積極的に応援してもらっているとのこと。「しかし個人的にはまだあのように反対されている方もおられるのです」としんみり語っておられた。グループホームに対する偏見と差別が根強く残っているかを思い知らされた。
 早速Yさんと先方に挨拶、自己紹介、訪問の目的などを告げる。ナルクの方から予め連絡がいっていたので、スムーズに本題に入ることができた。とは言っても私たちは素人、認知症のこと、介護のこと、ましてやホームの運営のことなど、私たちが口出しできることは何もない。 
 とは言っても私たちも伊達に年をとってきた訳ではない。親の世話や子育てには結構経験も積んできた。親を預ける立場では話ができるつもりだと、そのことを話すと「それが大事なんです。私たちは確かに色々勉強もして何をどうするかは頭の中では分かっていますが、ややもすると日常の実践の中に埋没し、原点を失いがちになります。むしろ素人の方から見た目が欲しいのです」と言われた。私たちが意を強くした瞬間であった。
 帰り道、Yさんと「私たちの役目ができましたね、素人の目はいつまでも持ち続けましょう」と語り合った。 感情を表に出すことも叶わぬほど能面のような表情になった姿は戦後の荒れ果てた日本の国を支えるために一生懸命頑張って生き抜いてこられた先達の最後の姿である。そして、それは今こうして元気に動き回っている自分達の明日の姿であるのも事実である。
 今回の経験でホームの何たるかを知り、そこに勤める管理者やスタッフの方の並々ならぬ熱き思いにも触れ、本当に清々しい気持ちになることができた。このような経験をさせてくれたナルクに心から感謝したい。(びわこ南東・松本信興)

 今回の訪問を終え、母を預ける子の気持ち、調査員としての筆者の気持ちを歌にしてみました。

○年老いて 母患いし 認知症 ホームの善 意に 託す毎日
○一日が今日一日が無 事に終え そんな気 持ちのホームの介護
○母訪ね 久方ぶりに 笑顔見ゆ ホームの 努力に 只々感謝
○若者の熱意に触れた 調査の日 ホームの 将来 先ずは安堵し
○情熱を福祉の仕事に かたむける 熱き思 いに心打たれん

北から南から

釧路 大フリーマーケット
7月16日、釧路で一番大きなフリーマーケットに初めての参加=写真。 心配した天気もまずまずで、洋服、着物、什器類、小物などを並べ、値札をつけ終わった頃に、周囲の約300の露天も準備完了していた。午前9時の花火の合図で営業開始。寒さのためか、午前中は秋物洋服や紳士物、什器類、小物が飛ぶように売れたが、午後から暑くなると夏物がどんどん売れた。気温の変化によって売れ筋の違いがはっきりわかる一日であった。おかげで売上は54,060円。露天用地代を引いても52,000円余りの収入を上げることができた。
かしま 歴史探訪に参加
3月31日、市内13箇所の史跡を巡った。ちょっと冷たい風の吹く朝、49人の会員が集まり、10台の自動車に分乗して出発した。里山ともいえるのどかな景色の中に、静かに佇む神社やト伝の墓。街中の道路の脇でうっかり見過ごしてしまう所にひっそりと建つ城主の墓。対照的な景色の中にある史跡に、鹿嶋開発の歴史の一端を見ることができた。とても不思議に思えた海に向かって立つ鳥居も、ここから神様が渡ってこられたと聞いて、納得した。掘ればどこからでも遺跡が出てくると言われる鹿嶋の大きな歴史を感じた一日であった。
銚子 パトロールに参加して
子供の暗い事件を知るたびに、よそ事とは思えず、パトロールに参加した。子どもの足で約25分の帰途を見守り。住宅がまばらなため、子どもがいざ助けを求めて駆け込む家が遠い。そのため、車での送迎や一緒に歩いて送迎する保護者の姿を目にする。私達は、徒歩で子ども達から少し離れて見守りながら進む。狭い交差点では、自動車の往来を確認しながら誘導。日を追って、子ども達から「今日は」と挨拶され、道端では出迎えの保護者からも会釈されるなど、コミュニケーションができる雰囲気になった。幸い、不審な車や人に出会うこともなく「異常なし」が続き、これが何よりだと任務を終えてホットするのであった。(鈴木孝一)
びわこ カヤック感動体験
6月28日、ナルクびわこ拠点合同のカヤック教室が開催された=写真。びわこ東南主催で、会場はJR湖西線蓬莱駅の南、BSCウオータースポーツセンター。梅雨の最中と言うのに天候に恵まれ、19名が参加(びわこ湖西4、湖南6、南東9名)で、琵琶湖で感動体験の一日を楽しんだ。午前中はインストラクターからカヤックの基本操作を学んだ後、まず1人乗り、続いて2人乗りカヤックで300〜400m沖まで基本練習セイリング。昼食のバーベキュウを存分に楽しみ、午後は遠出ツーリング。初心者の不安もこの頃には喜びと感動の笑顔に、元気なシニアの顔、顔、顔。琵琶湖ならではのマリンスポーツ体験に全員大満足の1日であった。