2014年12月号  

今年の事業計画で決めている「拠点代表・三役・コーディネーター研修会」を開いたところ、10月16日の関西会場も、27日の関東会場も満員の盛況
▼ナルクは会員の助け合いにより介護保険の足りない部分を補い、また介護保険の世話にならないための予防活動を主として活動しているが、最近は独り暮らしの会員の増加により、電話による安否確認や見廻り活動を追加して、その延長線上に市民成年後見人制度をおいている。しかし地域の社協や行政の福祉担当者の声を聞くと「ナルクは確かによく活動しているが、それは会員の助け合いだけであって、一般市民の助けには至っていない。そのパワーを市民に及ぼしてほしい」の声が強かった
▼地域包括ケアの呼びかけに応える活動は、地域からの批判を一掃し、期待に応えることとなろう。両会場の研修はそれを確認して新しいナルクを創る出発点となった。本部も懸命に支援する。八十路会も含めてみんなでやっていこうではないか。(高畑敬一)

2014年11月号  

以前、ナルク設立15周年記念行事で「拠点会報コンクール」を行ったところ、それをきっかけにして、各拠点の会報の中身が充実してきた
▼何か変わった面白いニュースはないものかと拠点の会報に目を通していたら、「時間預託サービス利用者大募集」の記事が飛び込んできた
▼この拠点は今まで施設のボランティア活動ばかりやっていたが、それでは会員が伸びないと、思い切って会員双方向の助け合い時間預託活動に重点を置くことを確認、研修も行い提供者がたくさん集まったが、利用会員が不足するという妙な現象が生じたのだ。本部からは"まず塊より始めよ”で、「代表や運営委員が利用者になったらいかがですか」とアドバイスした
▼ナルクがスタートした頃、全拠点が同じ悩みにぶつかったとき、コーディネーター講習会の講師を務められた木原知久氏が話された名言であり、それを思い出して拠点に勧めたまでである。さて、この拠点はこれからどうするのだろうか。(高畑敬一)

2014年10月号  

 「ナルクの役員としてどんな勉強をしたらよいでしょうか」拠点に出かけ時に、よくこんな質問を受ける。私の答えは決まっている「先ず本部と拠点の会報を隅から隅まで全部読み続けてください。そこから、いろいろな情報や拠点改革のヒントが得られますよ」
▼100を超える拠点から毎月送られてくる会報を全部読破するのは、正直言って骨が折れるし時間もかかる。しかし、拠点リーダーの巻頭言や新入会員の意見などは読みごたえがある
▼ナルクは設立の頃から「困ったときはお互い様」の双方向の助け合い活動を打ち出した。助け合いボランティアは提供者(担い手)にも利用者(受け手)にもなる可能性を持っている新しい理念。それを分かりやすく、利用しやすいようにしたのが時間預託制度である。これがナルクの基本である
▼入会を勧めるときも、行政の担当者にナルクの活動を話すときも、これを詳しく説明してほしいものである(高畑敬一)

2014年9月号  

 「いにしえの道を聞きても唱えても、わが行ひにせずば、かひなし」(島津忠興)
▼歌の大意は「古くから伝えられている人間の生きる道をどんなに聞いても、自分が実行しなければ何にもならない」ということである。
▼島津忠興は1492年から1560年まで生きた人だが、薩摩藩主島津家中興の祖といわれ、当時の武士の精神的な柱になる数々の名言を残している。
▼昨年、文部科学省が「生涯学習の見直し審議会」を設置して新しい方針を審議したときにも「せっかく税金を使ってシルバー大学を開き,学んでもらっても、実行に移す人が少ない」ことが問題になった。
▼5月下旬、ナルク設立20周年記念で全国から集まった1300人の皆さんは被災者と交流し、震災の傷跡を見学して、大きな感動を覚えたはずだ。地元に帰ったら一層ナルクの活動に励むことを心に誓ったはずだ。それを忘れないうちに、すぐに実践して欲しい。
ナルクの再発展のためにも。(高畑敬一)

2014年8月号  

 「ガード下の靴磨き」を歌って、昭和30年代の人気タレントになった宮城まり子さん(87歳)は、静岡県に「ネムの木学園」を創って、重度の障害を持つ子供たちを世話している話はあまりにも有名である。
▼今年の3月30日から1週間、そごう横浜店で子供たちと描いた絵画展を開いているというので、見に行った。
▼まり子さんの作品も素晴らしかったが、それ以上に子供たちの絵が立派なので驚いた。期間中の入場者は1万1千人を超えたという。皇后陛下もご鑑賞に駆けつけられたとか。
▼美術展の経費を賄う協賛の音頭をとったのは神奈川大学の松岡紀雄教授。企業などに頼らないで、一般市民から広く浄財を集めた。入場券つきの寄付金は誰でも1万円。1028件が集まった。松岡教授の話によれば、日本ではアメリカなどと違い、寄付文化がなく心配したが、「やればできる」と自信がついたとか。今回のような個人個人の市民寄付が根付いてくれば嬉しいのだが。(高畑敬一)

2014年7月号  

 仙台でナルク20周年の記念総会とイベントをやろうと決めたときは、個人の会員が集まってくれるだろうと、随分心配した。しかし、19300人以上が集まることが分かり、今度は支援ニーズにどう応えるかのうれしい悩みに変わっていった。結果は宮城、福島の仮設訪問、二本松農園支援、植樹活動、慰霊ウォーク、被災地見学など充実した20周年イベントを展開することが出来た。
▼終わって多くの会員に感想を聞いたが「良かった、とても感動した」という答えが多く返ってきた。
▼一番喜んでくださったのが交流会などに参加された仮設住宅の皆さん。それ以上に感激されたのは宮城拠点の会員だったかも知れない。「これからは、もっと活動に参加して、ナルクの理念を実感したい」と口々に応えてくれた。今まで宮城拠点は1県1組織で広範囲のため、活動の参加率も低かったが「今回、全員参加で役割を決めて、全国の会員のお世話をすることができ、最高の感激を味わえた」との答え。

2014年6月号  

 笑いは[老化防止の特効薬」と言われているが、近頃の夜のテレビ番組は低俗で、ひどすぎる。あんなのを見て笑っている日本人ばかりになってしまってよいのだろうか
▼明治の日本人は文化人とは言いがたかったけれど、思慮深く世界の人たちから尊敬されていた。名誉を重んじ、貧乏を恥じず、己を耕すことを心がけた武士道精神が、やがて一般の市民にまで広がっていったが,個々への教えは、ひたすら家庭で行われていた
▼人づくりの名人と言われた松下幸之助氏にそのコツを訊くと「叱ることだ。叱られない人間は反省しないし、成長もしない。ただしフォローが大切だ。自分は二つ叱って三つ褒めるようにしている」
▼1万数千人の認知症患者を診断してきた金子満雄先生の言。「ボケないためには夢を持つことが必要だ。夢があれば歩いたり、調べたりして脳が働く。そのほか、1日5千歩以上ウォーキングすること。皆でしゃべり・唄い・ゲームをするよう努めることも大切だ」 (高畑 敬一)


2014年 5月号  

 介護保険制度が施行されてから14年目に入った。65歳以上の高齢者が全人口に占める割合も24%を超した。政府の発表では高齢化が益々進行して2060年には40%になるそうだ。因みに75歳以上の後期高齢者人口は27%に上る
▼現在介護保険を利用している人は400万人で半数は85歳以上であり、要介護に陥った原因は第一が脳梗塞や脳出血、第二が認知症。また在宅でサービスを利用している人は72%で、うち要支援が27%要介護Tが22.5%、要介護Uが22%である
▼今回の改正で要支援が介護保険から外され、行政が直接この分野を担当することになった。また団塊の世代が75歳になる2025年を目途に在宅で診療から介護、看取りの全てが行われる地域包括ケアの体制に大きく変わっていくプランが立てられている
▼行政は要支援T・Uを担当し、同時に包括ケア体制を作らねばならないが、市民の立場からチェックし参加していく必要がある。医師会の協力を得た在宅巡回診療が実施されるのか
▼助け合いのインフォーマルサービスを提供する数多くのNPOやボランティア団体、サービス事業者が現れるのかが成功の鍵。税金の他にサービス利用者から料金を取って委託事業とする自治体も出てくるだろうが、ナルクの拠点がコーディネート機能は勿論のこと、積極的に事業を担っていく覚悟が問われる。(高畑 敬一)

2014年 4月号  

百歳を超えても元気だった「キンさん・ギンさん」は「あと何年生きられるかしら」というような後ろ向きな言葉は絶対吐かないで、「あと何年生きてこんな事をしたい」など、前向きの発言しかしなかったと言われている。お二人を鑑にしたいものである。
▼ナルクを創った頃は、介護保険の話は皆無で、その後、有償ボランティアが登場したが、ナルクは無償性の原則を貫き、介護保険事業にも参入しなかった。後にNPO法ができて、コミニュティ・ビジネスに走るボランティア団体もあったし、中間支援団体と称して行政からの援助に頼る市民団体も多数にのぼった。
▼ナルクは会員から集められた会費によって財政を賄い、行政からの独立を貫いてきた
▼無償性と自主独立をを貫いて20年。ナルクを誇りにし、ナルクを愛し、励まし合い、支え合ってきた会員1300人あまりが東日本大震災の被災地に集い、過去を語り未来を語る。実り多い集いにしたいものである。(高畑 敬一)

2014年 3月号  

▼ナルクは本部に加入手続きをして会員になるが、具体的な活動は、地域毎に拠点をつくって,事務所を設け、コーディネーターを通じて要望のあった利用者宅に出かける。コーディネーターは入会時に書いて貰った登録票を見て、その組み合わせをつくり、利用者と提供者に連絡する。細部は全てマニュアルに書いてあり、リーダー研修会ではそれら全てを学ぶ
▼受講者諸君は「登録票を初めて見たが、これはナルクの主活動がボランティア提供であることの証明だ」と感嘆する。
▼ナルクを設立した初期、拠点では「一日介護教室」「コーディネーターマニュアル研修会」を必ず開くことに義務づけられていた
▼会員を対象にした助け合いのニーズがない拠点は、取り敢えず施設のお手伝いを始めたが、ボランティアずくめでは長続きしないのではと心配して同好会をつくり、クラブ活動を推奨した。、しかし、本末転倒にならないようにと、5:3:2の活動比率まで決めたものである。(高畑 敬一)

2014年 2月号  

「全国の拠点を飛び回っておられ,家には余りおられず大変ですね」と人に言われるが、こちらはそれなりに結構楽しんでいる。
▼拠点の○○周年記念総会とか、△△研修会に行くと多くの会員に直接会ってお話が出来るからで ある。
▼ナルクの理念に惚れ込み、時間預託制度の魅力にとりつかれた方々が、それぞれの地域で懸命にボランティア活動をされている姿に接すると、ナルクを創って良かったと心底思う。
▼でも中にはイベントだけやっていて同好会・クラブ活動など遊ぶことに熱心で、地域の助け合い 活動などを一切やっていない方にお目にかかると、正直言ってがっかりさせられる。ナルクへの入り口はそう であっても、早い機会には本命のボランティア活動に参加してもらうような仕掛けを考えて貰わないと困るので ある。
▼無償を基本とした双方向の助け合い時間預託ボランティアはナルクしか出来ない。否それをやら ないなら、ナルクではないのである。(高畑 敬一)

2014年 1月号  

 元旦は家族全員で成田山不動尊への初詣を済すませたあと、年賀状を一枚一枚丹念に見ることから始まる
▼力作の版画で一年の無沙汰を謝しているもの。得意の絵筆を執って旧年登山した感動の風景を描いたもの、孫を含めて全員集合の家族写真,みなほほえましい。印刷しただけのは嬉しくないが、それでもペンで一言添えてあると情が湧き相手の顔が浮かんでくる
▼会社を定年退職後、年賀状の数量がぐっと減った。しかしナルクを創ってからは、今も昔通り1300枚を数えている。印刷を避けて全て手書きを心がけているから、12月に入ってすぐに書き始めないと、元日到着という訳にはいかない▼人はそんなに書くのは大変でしょうと言うが、書きながら相手のことを考えて、結構楽しんでいる
▼ある先輩から頂いた書の中に(一)古い友は信ずるに足る。(二)古い酒は賞するに足る。(三)古い女は「・・・・」とあるが、さて読者諸氏は「・・・・」にどんな言葉を入れますか。(高畑 敬一)