2004年12月号

 奈良県で小学校一年の女児が無惨なやり口で殺された。近年「いたいけな子共」を対象にするこの種の事件が相次いで起き、ますます残酷さを加えている。テレビで毎晩のように殺人事件番組を放映し、いとも簡単に人を殺す手口が多彩に紹介されているのがこれらの大きな要因になっているのではなかろうか
▼そんなことを心配していたら10月26日と11月16日の2日にわたって読売テレビに素晴らしい感動のドラマが登場した。題して「たったひとつのたからもの」。医者から最長でも10年の命と宣告されたダウン症の子供と一日一日を精一杯生き抜く両親の物語
▼他人より遅れ漸く歩き始めるシーン。その足で幼稚園の運動会に出場して転びながらも独りで走り通した場面等を見て涙が止まらなかった。主人公の加藤秋雪君は念願の小学校を目前にして6年の短い人生を終わるのであるが、この役を見事に演じたのが同じダウン症の翼君と知らされて二重の感動
▼スタジオで初めは泣いてばかりいた翼君と実の親子のような関係をつくり、ダウン症の子供に自信と自立を与えた松田聖子と船越英一郎も立派だった
▼「人の幸せは命の時間の長さではない。短い人生でもいっぱいに詰まった量を生きれば幸せなのだ」というセリフを聞いて、さて自分はどうだろうかとしきりに反省させたれた一刻でもあった。(高畑 敬一)

2004年11月号

 景気回復が本物になっていきつつあるのを受けて、このところ就職戦線にも明るさが見えてきているという。でも楽観は禁物である。 アメリカでもそうであったように、企業は人件費の負担をさらに抑制するために、正社員ではなくパートや季節工・アルバイト・派遣社員という形で人員増をはかっていくという見方が強い。 
  いわゆる“就職冬の時代”がまだまだ永く続くなかで一貫して就職率100%を誇っている高校の創立110周年記念展を見に行く機会を得た
▼工芸科教室の前に市民が列をなして開場を待っている。生徒の優れた作品が信じられない値段で販売されるのを知っていて早くから押しかけているのだ
▼ デザイン科の販促用ポスター作品群はアイデア・出来映え共に目を見張るものばかり
▼電子機械科では鋳造から旋盤加工・研磨と従来からの機械加工の基礎をみっちり教えられた上で、CNC工作機を使ったりロボットの製作に取り組んでいた。聞けば毎年開かれる創作ロボット創作競技大会ではいつも優秀な成績を収めているそうである
▼「今日は」「ありがとうございました」すれ違う生徒がみんな声をかけてくれる。明るくて誠実な表情が印象的。「本校は個性的な子を採っている。テーマを与えて考えさせ、創造性を育てる」と誇る熱心な先生達。教育の原点に触れて終日心地よかった。(高畑 敬一) 

2004年10月号

  NALCは人材の宝庫である。2002年3月の調査によると、教員免許取得者が551人、ヘルパー1〜3級505人、調理師213人、 看護婦175人、が上位に並び、以下保母・医師・介護福祉士・税理士・社会保険労務士等72種類6200人が資格・特技を持っている と答えている
▼現在本部で開かれている生涯学習センターをはじめとして全国各拠点で活発に行われている64種類の講座や趣味の 同好クラブの講師はNALCの会員がつとめ、1時間当たり1点の預託点数を頂戴している
▼変わったところでは北海道帯広市にある ナルク十勝拠点の上野保男会員。日本で唯一、三代続いている「砂金堀り師」を継いでいる。「砂金堀りオリンピック」 (イタリア大会)で日本人として初めての三位入賞したのがご自慢
▼上野さんの話によると、古代における金製品は砂金を原料 としていて、その技法は朝鮮より6世紀初めに仏教と共に伝来したと言われており、749年(天平21年)陸奥国小田郡 (現在の宮城県涌谷町)で最初に砂金が掘られた記録が残されている。中尊寺の金色堂に見られる藤原三代の繁栄は この砂金採取によるもので、徳川幕府も北海道各地へ砂金掘り師を送り込んで多量に金を採取し政権の維持を図った。 そのためか日本の砂金堀り技術とその採取量は世界トップだったとか。  (高畑 敬一)