2007年11月号 1面
 困っているあなた!預託時間をいま使おう

 利用者になって知るナルクの温もり

 高齢者が互いに助け合える地域づくりを
 「ナルクというNPOでボランティアをやっています」と言うと、最近では「ああ、あの時間預託の・・・」という答えが返ってくるようになった。マスコミの露出度が増えたせいだろう。
 世間一般は勿論、我々会員も「元気なうちにせっせとボランティアをして、時間を預託し年をとって自分が動けなくなったら助けてもらう」というイメージで理解しているようだが、預託時間を使うのは何も老後に限ったことではない。いま困っているあなた、もっと気軽にナルクに声をかけみては。
 ナルクは単なるボランティア団体ではない。高齢者の助け合いと共生を旗印に掲げ、温もりを感じる団体でありたいと願っている。同士的繋がりを大切にして、本当に困ったときに頼りになる存在でありたいのだ。
 これからご紹介する2人のケースから、あなたも「ナルクに入っていて良かった」の思いを実感していただければ幸いである。(文中敬称略)

 人世何が起こるか分からない
 石丸聰、69歳。5年間奈良拠点の代表を務めた。 平成18年8月10日、それは石丸にとって悪夢のような1日だった。
午前中に拠点の仕事を片付け、昼過ぎに家に戻ると、家の前は黒山の人だかりである。
「奥さんが車にはねられ病院に運ばれました」「えっ なに!」
 石丸は絶句した。夢中で病院に駆けつけた。
 妻清子(すがこ)は、意識不明のまま病院のICU
のベッドの上で眠っていた。
それは何事もなかったような穏やかな寝顔だった。
 しかし骨盤に大きなダメージ、両腕、大腿部など数カ所の骨折という大事故だった。首から上が無事だったのが不幸中の幸いだった。 
 その日から石丸の戦争が始まった。3人の息子もすぐに駆けつけてきたが、仕事も家庭もある身では、長期の戦力にはなり得ない。
「よし、ナルクだ、ナルクの仲間に相談しよう」。石丸の頭には真っ先にナルクが浮かんだ。
 副代表の江島以下、運営委員の全員が「仕事は忘れてください。そして何でもいってください。こんな時のナルクじゃないですか」 あとは任せろ、といってくれた。
「胸が熱くなりました。これで後顧の憂いなく、妻に付き添ってやれる、この安堵感が何物にも代え難かったと思います。事実、奈良拠点は中ブロック、南ブロックを中心に完全なバックアップ体制を敷いてくれたのです」 
 石丸は1年前を思い出すと、今でも涙が止まらないと言う。

 ナルクの温もりと近所の底力 
 3日後に清子の意識が戻った。どうやら命はとりとめた。石丸の祈りが通じたのだろう。
 ダメージが大きかっただけに痛みはきつい。動かない両腕・大腿部・肩に、容赦なく痛みが襲う。しびれもきつい。
 面会謝絶のまま、個室に移って長期の治療体制に入った。
 医師と看護師たちの適切な処置で清子は順調に回復した。あとは根気よくリハビリを続けるだけだ。
 ナルクの仲間、近所の人の献身的援助は毎日続いた。片道20キロの病院の送迎、家の掃除、買い物、庭の草取り、それは石丸にとって、お金や点数では買えない宝だった。夫婦で貯めた150点の預託点数は使い切ったが、点数外の善意の奉仕は言葉にも数字にも表せない物だった。 
 そして11月の末、完治には至っていないまま、退院の日がきた。どんなに良い病院でも「入院は3ヵ月、病院でのリハビリは6ヵ月以内」という制度が大きく立ちはだかる。あとは介護保険を申請し、しかるべき場所でリハビリを続けるしかないのだ。石丸は現行医療制度に大きな疑問をもった。
 家もバリアフリーにし、風呂もトイレも改装した。しかし介護保険の問題点も、身をもって実感する日々であった。
 新年度に入り、代表の役も辞任した。まさに 「市長の代わりはいても夫の代わりはいない」といって辞職したあの高槻市長の心境だった。
 しかし今の石丸には休日はない。介護には日曜も正月もないのだ。
 ともすればリハリビリも怠りがちになる病人を叱咤激励し、自らにも活を入れ、毎日を送らねばならない。それを支えてくれたのがナルクの仲間だった。
 奈良拠点は同好会活動も活発だ。石丸の碁の仲間は正月には「新春囲碁大会」を家でやってくれた。清子の歌の仲間もしょっちゅう見舞いがてら家に来て、おしゃべりをしながら励ましてくれた。年末にはナルクのサロン(友達の木)でついた餅や、オセチも届けてくれた。それは口では言えない心の支えであった。
「話し相手や送迎には、なるべく新しい方に来ていただき、ナルクの話をさせてもらっています。口幅ったい言い方ですが、ミニ新人研修といったところです」。今の自分にできる唯一のお返しだと石丸は言う。

 元気が取り柄の私がなぜ?
 田中緑、元気印の見本のような「大阪のおばちゃん」である。現在大阪拠点の副代表を務める。600人の会員のコーディネートを一手に引き受け、毎日精力的に動いている。
 
 彼女が体の異変に気がついたのは昨年の5月だった。若干の躊躇はあったが、思い切って大病院の門をくぐった。綿密な検査の結果下された診断は、初期の子宮ガンだった。
 「身体だけが取り柄なのヨ」、いつも周囲にこう漏らしていた田中である。青天の霹靂とは、正にこのことを言うのだろう。
 「あの日はどうやって家に帰ったか覚えていないんです」と彼女はいう。おそらく頭の中が真っ白になっていたのだろう。
「何でわたしが…」「こんなに元気なのになぜ…」。色々なことが頭を去来した。
 しかし彼女は冷静だった。「現代医学を信じよう。医者が手術を勧めるのなら、先ずそれに従ってみよう。あとは運を天に任そう」
 早速2人だけの家族会議が始まった。
 「私は子どもがいません。主人もまだ現役で仕事を持っています。家事の全てを任すというわけにはいかないのです」と彼女はいうが、彼もできるだけの協力はする覚悟だった。
「この際、思い切ってナルクに甘えよう」、 2人が出した結論はこれだった。
 相談を受けた拠点の事務局は、代表の広岡以下万全の体制を整えた。彼女の希望で病名は伏せられたが、いつ入院してもいいような環境は整った。

 緊急入院で半年に使った預託点数は百点
 手術は8月22日に行われた。真夏の暑い日だった。思ったより大手術になった。4日後に腸閉塞を引き起こし、2週間の絶食を余儀なくされた。おかげで体重は7キロも減った。しかし肝心のガン細胞は見事に摘出できた。早期発見の成果である。
 「今思っても、あの日病院に行っていなければ、今の私はないと思います」、田中は述懐する。
 秋の気配の漂いはじめた9月の中頃、彼女は夫の待つ我が家に帰ることができた。
 さあ、そこからがナルクの出番だった。仲間が交代で家事援助にあたった。9年間も頑張って「老後のため」と貯めてきた預託点数は700点もあった。年明け2月、元気になるまでの半年弱で100点余りを使った。
「例え点数がなくても田中さんのためなら、何でもしたと思います」。活動に当たった仲間の1人が言った。
 「嬉しかったですね。
点数を自分のために今使えたことも感謝でしたが、ナルクの仲間の輪を自分の肌で実感できたのが何よりも嬉しかったです。そして私の生き甲斐はナルクだと、改めて認識させられました」。
 ナルクがあったから今の私がある、田中のこの言葉が全てを物語っているようだ。
 さあ、今お困りのあなた、思い切ってあなたの街のナルクの門をすぐに叩いてみよう。  
                                 (取材と文・山田芳雄) 

2007年11月号 2面

ナルクシニア介護サポーター第1回養成講座開講

 近畿の5拠点を対象にインストラクターを養成
 本紙前月号1面でお知らせしたように、ナルクなどボランティア団体に近々要請が増えることが確実視される「要介護TU程度のサービス」に応えるための、表記養成講座の第1回がスタートした。
 今回は近畿の5拠点(びわこ湖西・京都・奈良・大阪・神戸)から選抜された17名が参加、この17名は11月9日の終了式で「修了証書」を受け取ったあと、それぞれの拠点に帰り、インストラクターとして各拠点で「ナルクシニアサポーター養成講座」の講師に当たることになる。
 10月5日(金)午前10時から先ず高畑会長の挨拶を兼ねた講議で講座は始まった。
 講議の中で高畑会長は「今日お集まりの皆さんの目を見ると、いきいきと輝いており、嫌々参加していないことがすぐ分かりました。私も家内と2人でホームヘルパー3級の講座を受けに行ったときのことを思い出します。私のボランティア人世はそこから始まったように思います。どうぞ皆さんもせっかくの機会ですから、頑張って全課程を受講され、第1号のインストラクターとして羽ばたいてください。1回でも休まれると修了証書が出ないそうですから(笑い)頑張ってください」と挨拶、この研修の意義、活動の中での位置付けなどを分かりやすくユーモアを交えて話された。
 午後からは崇嶋講師による「寝たきりにならないための実技」と題する離床指導があり、講師のユーモラスな身振り手振りに大爆笑のうちに初日を終えた。
 なおこの養成講座は今後順次、北海道・豊北・関東・・・と各ブロックで開催され、多くのナルクの会員が身体介助ができるようになり、また会員外にもこの講座を開放し、ナルクの存在価値を高めていく計画である。

団塊世代への次世代育成セミナー

 団塊世代の大量定年がピークを迎えている。
 各種のボランティア団体が、懸命に呼びかけをしているが、ナルクでも「何かのきっかけがあれば、必ず大量の入会が期待できる」として、いろいろな対策を模索している。
 このほどその一環として「こども未来財団」と共催で「次世代育成セミナー」を開催することとした。
 これは子育て世代の要望を踏まえ、団塊の世代が地域の「子育て支援活動」や「次世代育成」に関心をもってもらおうという狙いで企画されたもので、合わせて団塊世代の「企業から地域へ」という流れをスムーズなものにしようという意図で計画された。
 セミナーの内容は、お茶の水女子大学生活科学部の牧野カツコ客員教授の基調講演の後、パネルディスカッションが開かれる。
 これにはナルクの高畑会長もパネラーとして参加する。その他のパネラーはNPO法人子育て広場全国全国連絡協議会奥山千鶴子理事長、大阪警察病院看護師、団塊の世代代表等が予定されている。 なおコーディネーターには、読売新聞の野間裕子編集委員が当たる予定。
          日時:12月8日(土)
                  13時〜16時30分場所:アビオ大阪   小ホール
                  大阪市中央区森ノ宮中央1ー17
                  電話:06ー6944ー1151
           参加希望の方は、拠点を通じて本部に申し込んでください。
     



  ナルクの輪に支えられて  
                            関谷 絢子(江別)
 今年はとても暑い夏でした。そして、私にとっては様々な老いの問題とナルクの「暖かい輪」を感じた夏でもありました。
 私の父母は大阪の寝屋川に2人で住んでいます。父が突然6月に京都の病院に入院しました。近くに身内がいなく、高齢の母が一人で看病するのは大変なので、拠点に相談したところ、ナルクの遠距離介護の利用を勧めてくれました。          
 7月に、「ナルク寝屋川」に伺い代表の竹田さん、コーディネーターの長村さんとお会いしてご相談しました。初めてお会いしたのにナルクの仲間というだけでとても親しみを覚えました。通された事務所の2階に茶道具が並んでいる和室があるのがとてもうらやましく思いました。
 極暑の中、突然の依頼にも拘らず、親身になって色々きめの細かいお世話をしてくださり感謝でいっぱいでした。改めてナルクの暖かい輪を感じました。お陰さまで父は9月から寝屋川の病院に転院できました。その後も何かと母を見守って頂いております。  
 母の介護のお願いに伺ったのに、活動の話で盛り上がり、本部を中心とした幹に沢山の拠点の花が咲き、全国の仲間が頑張っているのを肌で感じ、元気をもらいました。
 ナルク江別は設立して8年、自分や江別の仲間からも忍び寄る老いを感じるときがあります。夫婦で入退院を繰り返している会員、難病と付き合っている会員、昨年の総会後の講演で、お元気に戦争の体験談を聞かせてくれた方が8月に旅立ちました。やりきれない現実に出会うこともありますが、仲間の暖かさ、思いやりのこもった笑顔に「困った時はナルクがあるよ」「ピンピンころり」を心の片隅に、ナルクで出会った友と老いと上手に付き合っていけたらと思います。
 ナルクには色々な仲間がいます。事務所に家庭菜園の野菜を持ってひょっこりと来てくれる仲間がいるかと思えば、ボランティアのやりくりに頭を悩ませているコーディネーターもいます。たくさんの仲間と喜びも悲しみも分け合っていけたらと思います。
 施設で出会う人生の先輩から、黙々と今日も公園を掃除している仲間からも元気をもらい、自分にあった居場所をみつけて、時には夫も巻き込んでボランティア・・・。
 日々起こる様々な問題を、困った時は、あんまり一人で頑張りすぎないで、ナルクに連絡くださいね。そんな思いで一日一日を過ごすこの頃です。



 団塊世代 今後の生活と暮らし方
 今月も博報堂エルダービジネス推進室の「第5回ホープサーベイ」の分析の纏めです。今回は団塊世代(58歳〜60歳)の今後の暮らし方に焦点を当てた調査結果です。(文・白石勝也)
 1 退職後の希望する暮らし方
定年後も働きたいという希望はやはり根強い。しかも「定年前と同じ会社でフルタイムの勤務」は28%でトップでした。2番目が「別の会社でフルタイム」が11・8%、3番目4番目が同率7・3%で会社を問わないパートである。 しかし働きたいという希望よりも「組織に縛られない自由な生活」を望んでいる人が29%近くおり、団塊世代の特徴を見てとれる。(図1)
 NPO活動の7・7%は多いと見るか少ないと見るか。

 2 80%がいまの所に住み続けたい
 定年後の住居地について尋ねたところ、8割の人が今の住居に住み続けたいと答えております。
 最近は、生活費の安い海外のリゾート地に住むのが人気になっていますが、数字的には1・4%と、微々たる数に止まっています。やはり海外は確かに年金だけで十分生活ができるのですが、言葉の問題、病院の問題などがネックになっているようです。 田舎暮らしも人気ですが、「現在の居住地」を希望する人の1割にも満たないのが現状です。(図2)
    

 3 半数以上がリフォームに興味あり  
 リフォームとなると、1年以内の経験者を含めれば全体の5割以上が興味をしめし、「当分はする予定はない」の45・5%を上回っています。 退職し自由になる生活を想定し、積極的に生活を変えようという現れでしょう。
 その内容を聞くと、男女ともに「キッチンの拡充」が半数近くに達していました。
 男女別に見ると、女性はバリアフリー化を望む人が半数を超えています。一方男性は「ホームシアター」「オーディオルーム」といった趣味系に走るようです。(図4)
           

2007年11月号 3面

 福祉調査センターだより

 今小規模多機能事業所が求められている
 小規模多機能事業所数は、本年、1000ヵ所を超えた。「2015年の高齢者介護」では、小規模多機能を利用者の生活圏内(小・中学校区ごと)に整備することが必要だとされている。
 「こんな所があったらいいなー」の一つ、門真市野里町にある「大和田ちどり」を見学した。民家を改修し、家庭的な雰囲気の中で自宅にいるような時間を演出している。利用登録者は25名、日中の最大利用者は20名で、内5名は認知症通所介護の事業所として受け入れている。
 当日も18名の利用者が入浴、昼食、カラオケと和気藹々の時間を過ごしていた。月.水.金は認知症対象、火.木.土は介護度要支援1〜要介護2が中心、要介護3.4.5の利用者もいる。5名までは宿泊可能である。週に5日宿泊利用し、土日を家族と自宅で落ち合うように帰宅している例もある。
 今年は町内の老人会、民生委員などを招待し「夏祭り」を行ったが80名の参加があった。
 取材中に利用者が迷子になっていると電話が入る。急遽職員が捜しに出掛けたが近所の薬屋さんが見つけ、無事家族の元に帰った。地域の連携も巧く機能しているようだ。問題が無いわけではない。まだまだ認知症の理解度が地域に薄く、トラブルがなくならない。 介護保険改正以後、家賃と食費は自己負担だ。小規模多機能は施設ではないので、利用者は主たる生活の場として自宅確保が必要だ。自宅家賃と事業所へ払う宿泊部屋代は家賃の2重払いとなる。特に生活保護の利用者には負担が重く、特養施設への移行に迫られているという。 
 24時間365日体制で、切れ目無く介護サービス(通所・宿泊・訪問)を提供できる小規模多機能事業所は、在宅生活を送る要介護者の強い味方になるはずである。便利で安心感のある、言わば介護のコンビニエンスストアなのではないか。
(常務理事 青木富子)

生涯学習センターニュース

    ○J&Bコーラス 
      第2、4金曜13時 大阪産業創造館15F 
    ○司馬・街道を行く 
      さりげなく風林火山  「富士山一周と河口湖を巡る旅」
        11月26日(月)、27日(火) 
        新幹線「富士駅」集合 河口湖「ウインレイクヒルホテル」(ナルク山梨代表の経営)          で1泊 預託点数8点利用可能 先着順
                    問合せ 藤岡 06ー6876ー1832
    ○劇団ナルク 第2、4金曜日15時30分
        大阪産業創造館15F 男女団員募集中
  劇団ナルク
      安土拠点での2月公演決まる
 初期痴呆の会員が劇団に入り、厳しいトレーニングに耐えるうちに、認知症が軽くなると言う明るく楽しい当世流行の脳トレをテーマにした内容。団員の平均年齢が70歳だけに信憑性が感じられる。拠点では町内挙げての動員を計画中。 問合せ 茶谷06ー6351ー0733

 エンディング・エピソード

        優秀賞      広島市安芸区  石原尚子
 
  託す
 去年、私は祖母を亡くした。数年の闘病生活の後、遺言などは残さず逝ってしまった。
 大正生まれの祖母は闘病中「こうして欲しい」など自分の思いや、死後の事務的なことなど殆ど言うことはなかった。
 そんな祖母の望みを1度だけ聞いたことがあった。療養中の祖母はその日は調子が良いらしく、蒲団の中で鼻歌を口ずさんでいた。
 「この曲、何だっけ」 「Body and Soul 身も心もって曲だよ」
 少し恥ずかしそうに祖母は笑っていた。言わずとしれたジャズの名曲だ。私は祖母とジャズがどうしても結びつかなかった。
 私の疑問を察したのか祖母は棚のアルバムを私に差し出した。そこには素敵な男性に囲まれて、洋服に帽子という私の知らない祖母がいた。
「この頃はモガって呼ばれていてね、モガ分かる?」
 私はしばらく祖母の昔話に聞き入っていた。「私が死んだらお葬式は簡単なのがええね、戒名なんていらんしね、葬式にBody and Soulを流して欲しいね」
どうして祖母がこの曲が好きなのかは結局聞かなかったが、きっと素敵な思い出があったのだろう。 
 しかし葬儀に、この曲が流れることはなかった。皆に伝えてはみたが、「まさかお婆ちゃんがそんな曲を」とか「葬式に合わないよ」など親戚は取り合わなかった。もし祖母がその意思を文章で残していたら、「故人の意思」ということで実現したのではなかろうか。
 声に出しては言えないことでも、文章になら書ける、エンディングノートにはこういう利点がある。
 昔母が「わたし、実家のお墓に入りたいワ」と、ふと言ったことを思い出す。夫である父にはなかなか言いにくいことである。しかしノートに綴るのであれば、素直に自分の気持ちを遺族に託すことはできる。
 エンディングノート、この必要性を改めて感じてしまう。
 さて、私なら今エンディングノートに何を綴るのだろうか。今綴る内容と10年後に綴る内容は違うかもしれない。
家族が増え、周りの環境が変わればそれは当然のことだろう。しかしペンを握りその時々に応じて、自分の気持ちに真剣に向き合う時間があっても良いのではなかろうか。
 自分が本当に望むこと、しなければいけないこと、周りの人々への思い、それらを再確認するためのツール、それがエンディングノートだ。    以上
 (原文より抜粋)

拠点リレー訪問32

 ナルク美祢(ふくふく)  訪問記
 ナルク「美祢(みね)」が活動している美祢市は観光地
秋吉台カルスト地帯」に連なる山あいの町です。
 新幹線で山口県に入るとトンネルが次々と続きます。たまにトンネルを出ると、緑に包まれた山ときれいな青空が目にしみました。
 美祢市は人口18,000人余りですが、228・25平方kmと人口のわりにとても広い町です。千葉代表にわざわざ新山口まで迎えて頂きましたが、山間を立派な道路ができていて小1時間で裏山のある事務所(ご自宅)に到着。大阪暮らしの身には別世界のような静かな環境でした。
 ナルク「美祢」は設立して3年、会員45名です。活動は今のところ女性中心ですが、皆さん和気藹々と、代表を中心にこの広い地域で活動されています。
 主な時間預託活動は車での送迎、草刈、竹切り、網戸の張替え、パソコンでの入力作業など年間約300時間です。
「竹切り」とは、季節には蛍が飛び交う山間の清流の岸にある会員のお宅の数百本の笹竹の群落を刈り取る作業です。千葉代表がチェーンソーで切り倒し女性のみなさんがロープで引き倒して積み上げるというなかなかの重作業です。折からの暑さの中で力を合わせてこなしておられました。すごいエネルギーです。
 会員同士の交流のために全員を対象にした月1度の例会を、誕生会もかねて開催、代表がいつもおいしいケーキを作って提供するのでみんなの大きな楽しみになっています。
これからの課題は、会員数を増やして各施設や公共団体との協働を働きかけえること、また子育ての活動を進めたいことなど、夢を大きく膨らませています。
 ナルク「美祢」の皆さんの一体感と力があれば夢も必ず達成できることでしょう。  
 
ケーキづくりをする千葉代表                  野村文夫記 

2007年11月号 4面

ナルクのボランティアに感謝

 奈良拠点が活動している老人施設「あすなら苑」の大国苑長と担当の山口さんから奈良
 拠点に手紙が届きました。ボランティアの神髄が示されていますのでご紹介します。
 地震などの短期間のボランティアは、感謝する方もされる方もはっきりしていますが、高齢者ボランティアは期間がなく内容もはっきりしないので大変です。
 ボランティアをコーディネートする事務局は大変な仕事ですが、それがないと継続が難しくなります。
 ナルクさんには立派なコーディネーターがおられるので、大きな力が発揮できているのだと思います。
 介護を必要とする高齢者が市民生活を続けるには、施設やその職員あるいは家族だけでは限界があります。それを支えてくださるのがボランティアです。
 施設の側から見ると、ボランティアが来られなくなると、職員本位の閉鎖的な施設になりがちです。
 昨年からナルクさんに関わっていただき、より明るい施設に変わったと感謝しております。
                                 苑長・大黒康夫

 私どもは開設当初の1999年からボランティアさんの受け入れをして参りました。グループでの活動は比較的長く続くのですが、個人での活動はなかなか継続が難しいようです。
 そんな矢先にナルクさんとの嬉しい出会いがありました。
 昨年6月に団体での見学、ボランティアの申し入れ! 願ってもないことでした。
既存のメニューに加え独自のものも考えてくださいました。
 ナルクの皆さんがボランティアを終えて帰られるとき、どんな気持ちで家路についておられるのかが大事だと思います。「また次も来たいな」「今日は元気をもらった」「やっぱり来て良かったな」、という思いだと嬉しいのです。そのための努力は惜しみません。末永いお付き合をよろしくお願いします。
                                  ボランティア担当 山口圭子

HOW縁結び

 京大出の女性が待っています。元気な男性を求む!
 関東は女性を求めています。
                                  担当 安藤・巽
 隣の席の森さんからも「安藤さん巽さんの努力が実って1日も早くカップルが誕生すること願っています」というエールが編集室に届いております。
 

記者レポート

 [川崎]  コンサートに賛助出演

 9月7日、川崎市宮前区障害者福祉施設9ヵ所合同のイベント「幸せを呼ぶコンサート」にナルク川崎が昨年に続き賛助出演した。 参加者の整理やビデオ撮りのボランティアも行い、障害者の方と一緒に「千に風になって」「ビリーブ」などを合唱し、しあわせを共感した。
                    (花崎良政)




 [ひたち]  特養で旗揚げ公演
 9月14日(金)、ナルクひたちが ボランティアしている特別養護老人ホームから依頼されて長寿者の祝いに初めて「ナルク一座」が出演しました。
 会員11名が得意の芸事で一座を組み、 仕舞、フラダンス、日舞、安来節、水戸黄門音頭などを演じてきました。安来節では一緒に手拍子を取る方、涙を流して見ている方もいて楽しそうでした。
 終わったあと、私達のところに来てくれたりして園やお年寄りも大変喜ばれ、会員も第一回にしては上出来と満足して園を後にしました。次回は、もう少しレパートリーを増やしたいと思います。
                   (菅野佳子)

 [枚方・交野]  地域包括ケアセミナーin枚方
 「満足と安心の高齢社会は枚方市から」を合い言葉に、ナルク天の川と、さわやか福祉財団近畿ブロックなどが、行政の後援を受けて表記のセミナーを実施することになりました。ぜひ多数の皆様の参加をお待ちしています。
        日時:11月17日(土)   10時〜16時
        場所:メセナ枚方会館
             天の川クラブが活動報告をします。
                           (平山紘一郎)