2007年3月  1面
     ナルクが包括支援センターの現状調査
        ●本来事業に手が回らない支援センター
        ●求められる継続支援ができるボランティア
        ●支援センターは予防プラン作成に忙殺

 包括支援センターのスタート
 2006年に大改正された介護保険の目玉は地域包括支援センターの新設である。狙いは増加し続ける介護認定者の抑制、なかでも約60%を占める「要支援と介護度1クラス」の介護度進行を遅らせることと、今は元気だが今後要介護状態に陥りそうな高齢者の支援施策を地域ごとに取り入れることにあった。
 包括支援センターは中学校区2つ程度の地域ごとに設置され、その運営責任は市町村が持つことになったが、業者への委託も可能としている。
 センターの基本的な機能は図1の通り新予防給付と介護予防事業の2つに分かれている。前者は今回の改訂で新たに区分された「要支援1、2」の対象者に予防給付のケアプランをセンターが作ることになり、これが大きな負担になっている。また後者が「任意事業」に位置づけられているのが問題である。制度改正の趣旨から考えると「介護予防」の方が重視さるべきで、その際地域に存在するNPOやボランティア団体のインフォーマルサービスを如何に組み込むかが鍵になる。
 1つの包括支援センターには@主任ケアマネージャーA保健師B社会福祉士の最低3人の人員を置かねばならず、これらの運営費用は介護保険の2%を財源としている。市民の健康管理・疾病予防に大なり小なり人と金を使ってきた市町村が、これらを含めて介護予防に力点を置いて総合的な施策をたてて、どれだけの予算を投入するかが問われるところとなろう。
 包括支援センターがスタートしてほぼ1年が経過して、現在どのように活動がなされているのか、どこに問題点があるのか、などを知ると共にナルク各拠点が地域包括支援センターに、「どのようなお手伝いができるのか」を掴むことを目的に、新年早々全拠点に調査を依頼した。

                    ナルク82拠点の調査結果
 早速調査を実施した拠点数は82拠点で、先ず市役所や役場を訪問、地域包括支援センターの概要と市の取り組みについて聞き取り調査をし、次いで地域包括支援センターにも調査に伺った。
  85%が運営委託
 調査市町村数は左表のように94、傘下包括支援センターは823、調査した市町村の総人口は3327万人なので、1センターの担当人口は4万1千人である。包括支援センターの運営は行政の直営が14%、一部直営が0・6%で85%が全数委託と圧倒的に多い。また委託先は社協が9%と少なく、医療業者など民間が87%であった。
  介護予防や権利擁護をやりたいが
 包括支援センターの職員は熱心で、制度改正の主旨もよく理解している。しかし人員不足と予防ケアプランの作成に時間がかかりすぎるのが悩みとなっていて、現在の問題点を聞くと沸騰するようにたくさんの意見が出された。図2でそれを纏めたが、予防給付プランの作成に追われて介護予防や相談・権利擁護などの本来業務ができないが28%、 委託する場青の件数が上限8件に抑えられているのと報酬単価が安いので委託先が見つからず結局内部でやらなければならないが21%、合計すると49%が予防プランをこなすだけで精一杯という現状であった。
 人員不足はともかくとして、先ず委託件数の制限を緩めることと報酬単価の引き上げが急務である。
 しかし明るい展望もある。予防支援事業を地域に「早くきめ細かく広めていきたい」と強い意欲を示している行政や、従来からも熱心に取り組んでいる所が数多く見られたことだ。

  ほしいボランティア
送迎 ・見守り ・庭掃除 ・体操指導
 今後予防活動を展開していこうとすれば、どうしても地域の諸団体、ボランティア組織、NPOとの連携が不可欠になる。健康づくり、介護予防は継続して行わなければ効果が出ない。そういう意味では事務所を置き、コーディネーターを配置して責任をもって恒常的に活動してくれる「ナルクのような組織を地域でたくさん作る必要がある」と殆どの支援センターが答えている。
 草津市では各種サロンを70ヵ所予定だがボランティア団体に大きな期待を抱いており、そのためのサポーター養成講座を開くという。
 どの包括支援センターでも予防のためのサロンが用意されているが、人手不足なのと企画力がないのでこのボランティアのニーズは高い。
 高槻市では体操指導の講習を受けた人に予防教室の運営を委ねる計画を立てている。神戸市では小規模多機能施設でのレク活動の指導者を求めている。
 今回の制度改定で要支援1,2の給付限度額が下げられたので、日常生活が困難な独居高齢者のケアプランに有償ボランティアでもよいから取り組みたいという声が多かった。そのサービスとしてあげられのは病院への送迎・家事援助・話し相手・見守り・ゴミ出し・趣味の活動への同行・庭掃除などである。
 強いナルクへの期待
 行政の福祉担当や社協と常に連携を保ち、時間預託助け合いボランティアや奉仕型ボランティアを行って地域の評価を得ている枚方交野、小山、栃木、岡山東備などでは支援センターの方から声がかかり、数多くのボランティア支援が行われている。しかし大多数の拠点は介護保険が実施されてから、身体介助、家事援助などのボランティアが介護保険にとられて減少している。しかし保険給付の見直しや低減がなされ、さらに今回の地域包括支援センターの開設によってナルクの担えるサービスが増大している。これを適確にキャッチして各拠点が最低月100時間の時間預託ボランティアを実行することは極めて容易になっている。
 要は拠点のリーダーやコーディネーターが包括支援センターに積極的に足を運ぶことである。そしてボランティアを依頼されたら先ず引き受け実施することが大切である。そうすれば必ずナルクが地域でなくてはならない頼りになる組織として認知される。いまその時期に来ているのである。


          2007年3月  
2007年3月  2面
          届け!高齢者の声
 ●「公開質問状」に向けて
 本格的な超高齢化社会を迎える中、高齢者に対する社会保障は、ネガティブな先行きを想定した度重なる法改正の下で、非常に不安定なものになっています。 
 ナルクは高齢者を中心とした社会保障に対する各政党のマニフェストを、具体的に「公開質問状」によってただし、参議院選挙に於ける清き1票の行方に資することにしました。
 そのためにこの3月10日、岡本祐三先生(ナルク顧問、国際高齢者研究所所長)、小畑雄治郎先生(ナルク担当弁護士、大阪府人権擁護委員会委員長)を中心に「政策審議会」を開き、過日ナルクの会員約1200人を対象に行ったアンケートを基に、各政党に対する「公開質問状」を作成します。
 論議が予想されるのは、まず年金制度です。合計特殊出生率が現行の1・26、経済成長が04年と同じ条件で続くとすれば、厚生年金の「給付水準」は現役時代の46・9%になると推定されます。これは法律で明記された「現役世代の50%」を大きく下回ります。
 また今後の年金を賄うのは「保険料」か「税金」かの論議が活発になると思われます。
 ナルクは厚生年金の2階部分は保険料として、1階部分の基礎年金と国民年金は現在の6万6千円から12万円程度に引き上げて、その部分は税金で賄うようにすべきだと考えます。その考えに沿った質問を検討します。
 次に医療制度です。高齢者の1割負担が所得によっては3割負担となり、長期入院をした時などは、高齢者は生活を脅かされます。
また収入の低い高齢者に対しては「高額医療費の限度額」を月額2万円にすることの質問も検討します。
 介護保険料は対象を30歳威以上とし、65歳以上の保険料を低く抑える質問を検討します。
 これらの社会保障を賄うために、消費税を10%に値上げして、高所得者の累進課税限度額を50%以上に引き上げることについての質問を検討します。
 ナルクは特定の政党を支持して果敢な「政治活動」はしませんが、超高齢化社会の中で、高齢者が満足と安心のできる生活が保障され「質の高い人生」を送るための「政策提言活動」については、今後とも鋭意努力しなければならないと思っています。
                 政策審議会委員    田邊榮一郎
     
         男の料理本大好評
         ●「お父さんには初めての料理」

  各拠点の料理教室でもお手本に
 2月から発売を開始した「お父さんには初めての料理」が好調である。内容が豊富でレシピはいずれもカラーで分かりやすい。
 最近は拠点でも男の料理教室が大流行だが、そこでのテキストにも最適の1冊と評判を得ている。
 中心になってまとめた藤井靖永さん(寝屋川・四条畷拠点)も、「たまには奥様を楽させたい関白お父さん」「これから料理を始めたいシニアの皆さん」「単身赴任のサラリーマン」「下宿住まいの学生さん」などにお勧めですと言っている。
 また監修に当たったNHK料理教室の初代講師野尻千草さんは「ここに出てくる料理は、作りやすい・無駄がない・おいしそうと3拍子揃った物ばかりです。ご主人が作った料理を囲んで、奥様も嬉しそうに座っている家庭風景なども想像できて、私もとても楽しくなりました」と推薦文を寄せてくれている。
   申し込みは各拠点事務所へ。定価750円(税・送料別)。
     
             知っ得  
     ●続・定点調査による時代の変遷
先月に引き続き博報堂生活総合研究所の「生活定点調査」から、人々が今という時代と将来を見据えて、これからの生活がどのような方向にいこうとしているのかを情報、消費、投資という面を過去の実績から探ってみました。      (白石勝也)
 1)情報処理能力
 めざましく進展する情報化社会、それに伴い人々の情報整備は、情報機器からサービス利用まで幅広く拡充されている。
 情勢生活に於ける重装備化は、人々が豊になったと実感させる。とくに情報処理能力が高い方だと思っている人の数は、調査が始まって以来上昇傾向にあり、パソコンなどの普及が大きく貢献している(図1)。
消費の考え方は「目利き」の力へと変化している。店員のサービスの必要性が調査以来一貫して低下して、購入する人々の知識による感覚での購入が増加している。またオンラインショップでの買い物傾向が増加している。
 2)消費の動向
 情報装備と情報能力の向上が動力となり、自分の選択・多様なルートでの購入の方向となっている
(図2)。


 3)投資の傾向
 「国内旅行」や「お歳暮」は減少し、変わって「映画鑑賞」や環境問題を意識して自動車を買う」など、社会にとって有意義な賢い消費が進捗している(図3)。
 不透明な将来に対して備える生活が動きだした。子どもへの投資と金融商品への投資である。
 厳しい現実を生き抜かなければならない子どもたち、その時代を乗り切るための知恵を装備させるために積極的な投資を行おうという動きが見える。
「子どもの教育にお金をかけよう」と思っている人、及び「実際にかけている人」は年々増加傾向にある。
 さらに子どもだけでなく、不透明な将来に備えるべく銀行や証券会社の金融商品に投資しようという兆しが見える。
 能力主義・増税・年金問題など将来が見えないので、資産運用で安定した老後の暮らしを確保しようとする人が増えているようだ。
      

       女性の視点   
 ●花の60代             岡田範子(ながの)
 ふと目にした「時間預託のボランティア」というのが気に入って、ナルク発足時に迷うことなく入会しました。会員番号635で、長野の第1号ということでした。本部から再三、長野に拠点をと言われ、情熱はあったのですが、その時はちょうど50歳、私の身辺はてんやわんやの大忙しでした。
 3人の子どもたちは進学・就職とそれなりに自分で決めて一段落し、ホッとしたのも束の間、それぞれが生涯のパートナーを連れてきました。
 晴れの結婚式を3回挙げることができて、ようやく親の役目が果たせ安堵しました。その間には仲人も何回かさせていただき、世の中にご恩返しができたと思います。
 これからは自分のやりたいことが自由にできると思うまもなく、孫の誕生です。しかも次々と7人です。
「7人の祖母」という立派な肩書きをいただき育児支援に当たる毎日となりました。生活は孫の年中行事でびっしりです。
 その頃、会社の要職についていた夫が2度に亘り入院をすることになりました。幸い職場復帰もできましたが前にも増して健康管理や会社への送迎なども気を遣わなければならなくなりました。親戚縁者も多く、全てが私にのしかかってきました。
 そんな日常でしたが、20数年来の趣味「油絵」の制作・出展は継続していました。
 搬入の頃は時間の許す限りアトリエにこもり、気力・体力の続く限り頑張ります。孤軍奮闘の甲斐あって中央展や地方展で80号、100号の大作が受賞するという嬉しい出来事も続きました。現在信州美術会会員です。
 静物画を中心とした「花の絵」が好きな分野です。多忙な中ですが、夫と行く国内外の旅先では、その地の風景などに、寸暇を惜しんで絵筆を運んでいます。
 50代の後半には、近くに住みながらも伏せがちだった実家の母の晩年を、長女として心ゆくまで看て送ることができました。「親孝行だね」在りし日の母に言ってもらえたことは、何よりの宝物になっています。
 慌ただしさが凝縮されたような50代でしたが、お陰様で健康で平穏に還暦を迎えることができました。まず夫に感謝の気持ちで一杯でした。
 翌2004年、60歳になった6月に「ナルクながの」が誕生しました。
 いまは花の60代、二人とも身も心も余裕ができましたので、人様のために「できる時に、できることを」をモットーに、さらに楽しみながらアンチエイジングに生きたいーと考えています。


       2007年3月  
2007年3月  3面
     300拠点を目指して   A滋賀県のケース
 ●成長は細胞分裂から
 
 滋賀県には、平成7年に安土、平成10年に大津にそれぞれ拠点が作られた。
 活動が軌道に乗った平成14年、大津は地域密着型の活動を指向して「大津中央」「大津湖西」「大津湖南」「大津南東」の4ブロック制を採用した。各ブロックは拠点が定めた方針に従い自主的に活動を行い、会計事務及び預託点数管理を行い、結果を拠点で集約して本部に報告する制度を採った。
 さらに平成15年、県内を東西に分け、東をびわこ東(安土)、西をびわこ(大津)として、「4ブロック+1拠点=びわこ連合」という構想を打ち出した。将来「近江八幡」「彦根」の分離を視野に入れ、一部の会員をびわこからびわこ東に移籍する措置もとった。
 そして平成16年、「びわこ」の4ブロックは、それぞれ拠点に分離独立した。一方「びわこ東」は昨年「近江八幡」に拠点を移し、同年末には「彦根」「安土」も当初の予定通り分離独立した。
 この結果、2つの拠点でスタートした滋賀県は、「びわこ東」「彦根」「安土」「大津中央」「びわこ湖西」「びわこ南東」「びわこ湖南」と7つの拠点を有する結果となった。
 びわこ湖西の鎌田光三代表は「ブロック制から新拠点という細胞分裂を経て滋賀県は創設期の苦しい課題を解決することができました。そして新入会員を常に受け入れる組織に変身できたと思っています」と語っている。 ここでもリーダーの確たる信念と「天の時、地の利、人の輪」が大きな原動力となった。
 いま滋賀ではナルクの会員を「1小学校区に10世帯」という夢の実現に向かって進んでいる。これも分離独立の賜物であろう。
 
 
              記者レポート
 ●施設での活動      横 浜
 施設での活動 横浜市泉区にある介護老人保健施設「やよい台・仁」は、冬は富士山がとても綺麗に見える小高い閑静な住宅地にある。入所者は124名、通所者30名で、毎日10数名の会員がおむつ交換などの活動し、1ヵ月の活動時間は100時間前後になる。認知症の方達の見守りにも当たる。車椅子での散歩、話し相手、ボール遊び、歌を唄うなどだ。話の中で知らなかったこともたくさん教えてもらうことがあり、大きな声を出して歌えば健康的でストレスの解消もでき、プラスになることばかりだ。健康でこの活動を細く長く続けていくことと、多くの方に活動を広められたらと思っている。   
                                     (小林ちかね)
 
 ●レディースパーティ大盛況   豊中・池田・箕面
  女性が企画運営する近畿地区の冬のパーティ、今年はわかばの会の担当で2月10日、池田市市民文化会館で開かれた。過去最高の150人を超える参加者で会場は溢れ、ナルチャンバンドを中心にダンスと歌で存分に楽しんだ。宝塚・川西のハワイアンダンス、和歌山の紀州よさこいで会場の盛り上がりは最高潮に達し、最後はビンゴと阿波踊りの練習で、4時間はあっという間であった。
                                    (日比野昌弘)
 
 
今年の海外旅行
 ●スコットランドの文化に触れる
 今回は英国が中心になりますが詳細は次号でお知らせ致します。
  ○独自の歴史と文化をもつエジンバラ。世界遺産にも登録されている落ち着いた街    や古城、庭園の美しさなど多彩な魅力を味わいます。
  ○英国の品格と伝統を 体現する街ロンドン。英国介護福祉の現状を学びます。
  ○ドーヴアー海峡をユーロトンネルで渡ってパリで歴史とアートを満喫。ショッピング   もまた楽しい。
    日程・6月18日(月)〜25日(月)6泊8日
    申し込み受付開始は4月下旬を予定しています。
    旅行内容の詳しいことについては、説明会を開きます。
 
 
生涯学習センターニュース
  
      ○J&Bコーラス  2/4金曜 13時    産業創造館15F
      ○劇団「ナルク」  2/4金曜 15時30  産業創造館15F
                                    問合せ 本部田邊
      ○司馬「街道を行く」 3月25日(日)    近江八幡を歩く
                                    問合せ 本部藤岡
      ○口腔ケア出前講座  (認知症嚥下予防) ウエルテック社協賛
                                    問合せ 本部中島
      ○ケアメイク出前講座   パピリオ化粧品協賛
                                    問合せ 本部安藤 
      ○HAO縁結び    ナルク結婚相談所
                        問合せ 本部安藤  enmusubi@nalc.jp
 
 
4月の文楽
 
         第1部 (11時開演)  玉藻前あさひの袂   心中宵庚申
         第2部 (4時30分)   粂仙人吉野花王    加賀見山旧錦絵 
             4月7日〜30日  13、20、27日の第2部は6時15分開演
             いつものようにナルクの会員には特典があります。
             詳しいことは本部佐藤まで
 
   
北摂4拠点  合同花見大会
 
          日 時:4月7日  (土曜日)10時
          場 所:万博公園 東大路下の広場  多数ご参加を!
                世話役[茨木・摂津] [豊中・池田・箕面]
                     [高槻・島本] [吹田]
 
 
拠点リレー訪問 24
 茨木・摂津拠点(おしどり)
 関西に馴染みの薄い方のためにご紹介すると、茨木市人口26万人、摂津市8万人、大阪府の北西部に位置し、西国街道、淀川沿いに発展した歴史のある地域である。
 代表の山田稔さんは12年間、強力なリーダーシップでこの拠点を引っ張ってきた。市の福祉関係者で彼の名前を知らない人は皆無であろう。体は小さいが行動力は抜群、この日も府立高校の「家庭科」の教壇に立っていた。
 最近は家庭科のカリキュラムに「福祉」が必ず取り入れられている。その分野をナルクが担当するという全国でも珍しい奉仕活動である。山田さんは「高齢化社会に向けての心構え」というテーマで1時間の授業を担当。
 その後の1時間は車椅子実習である。校庭内には坂道があったり、段差があったり、実習にはピッタリの条件が整っている。生徒は2人1組になり上田事務局長をはじめとするナルクのメンバーの指導に真剣に取り組んでいた。
 現在、3つの府立高校からお呼びがかかっているが、近々1校増える予定という。これがご縁でナルクの行う「クリーン大作戦」に、高校生が多数参加してくれるという素晴らしい実績がある。
 もう一つのユニークな奉仕活動は「病院ボランティア」である。済生会茨木病院で外来患者さんの受診受付のサポートと、リネン室でのお手伝いをしている。 
 この活動は会員の一人がこの病院に勤めていたことがきっかけで平成13年に病院と共催で「介護教室」を始めたのが事の始まりだった。ちなみに昨年12月のテーマは「家庭での応急処置」というもので、市民50人の参加があった。
 ナルクも総力をあげて教室運営に当たっているが、病院側の取り組みも真剣そのもの。講師を務める看護部長はじめ10人のボランティアグループは皆、年休をとって参加してくれるという。この教室がご縁で病院ボランティアが始まったが、今では毎日誰かが詰めているという状態にまでになった。院長の曽根春男先生は「ナルクの皆さんには本当に感謝しています。おかげで職員もボランティアの何たるかを学ぶことができました。担当部署との連携もバッチリです。今後の課題はドクターとのコミュニケーションです」と極めて前向きである。
 そのほか事務所に隣接する「デイサービスセンター」での奉仕活動も見逃せない。こちらは囲碁、麻雀などのお相手や話し相手である。
 特筆すべきは時間預託活動である。
社協はじめ市の福祉関連部署とも密接な連携を保っているため、応じきれないほどの活動依頼がくる。会員数303人の拠点で285時間(06年12月のデータ)はご立派の一言。
 社協の吉村事務局長は「市のボランティア連絡会に登録されている団体は40ほどあるのですが、ナルクさんが一番しっかりとした運営をされております。私たちもつい頼りにしてしまうんです」とナルクに寄せる期待は大きい。
 山田代表に「摂津との分離は如何ですか」とお尋ねすると、「人数的なアンバランスがネックですが、何とかその方向で動いています」とのことだった。    (山田芳雄)
 

 
2007年3月  
2007年3月  4面
飛騨匠の技を学ぶ木工教室を
           オークヒルズと提携で

  ●初回学習は春の高山見物を兼ね
 荒れ放題になっていた里山を地域の親子たちで整備して「森のビオトープ」や「子どもの冒険広場」を作り、巣箱や遊び道具を製作する3世代子育て支援が、ナルク各拠点に広がっている。その活動の中から「子どもたちに色々な物を作れるように木工技術を身につけたい」とのニーズが高まっている。また日曜大工のボランティアグループからは「せめて物置小屋や机・椅子などを作れる技を学びたい」との声も寄せられていた。
 この度、岐阜県高山市にある「オークヒルズ(稲本裕社長)」との提携がまとまり、これらの声に応えられることとなった。この会社はトヨタグループも活用している木工教室を運営する会社で、色々なコースが設けられている。
    【初級】
       @手彫りで皿など器 を製作
       A自然素材でアクセ サリーなどを製作
       B地球にある全ての 素材を活かすコース
    【中上級】
       @時計製作コース
       A自分のデザインで スツール等を製作 
    いずれも2泊3日か3泊4日のセミナーで、宿泊は緑の森の中にある    立派な施設。
 講師陣は飛騨高山で木工品を作っている一流の匠の人たちである。今回ナルクのために割引利用料も定められた。
 個人学習を希望される方は直接オークヒルズに申し込みを。
    〒506ー0101 高山市清見町牧ケ洞1025ー2
    0577ー68ー2888   Eメール info@oaknature.co.jp

        初回団体学習参加者急募
 個人学習とは別にナルクとして観光を兼ねた団体学習を定期的に行うことを決定している。
 第1回は4月13日出発で、体験学習のあと、有名な春の高山祭りを最高の料亭で食事をして見物する企画とした。
      料金は2泊3日で39350円。
      申し込みは拠点または本部事務所。定員30人。
             高山祭り
 春の高山祭りは日枝神社の例祭です。4月14日は宵祭りで提灯の屋台が市内を練り歩き、幻想的な世界を繰り広げます。夕食会場の「州さき」は創業200年の岐阜県でも最も古い料亭です。大黒柱や梁は飛騨の代表的な趣を見せています。
   作る楽しさと春の高山祭り
 (初回ツアーの日程)
  *4月13日(金)・13時30分 JR高山駅集合
        車の人はオークヒルズのオークビレッジに14時に
   ・14時30分 ガイダンス(希望コースに分かれる)
   ・15時〜作品製作 
    初  級 @器コースAアクセサリーBアースコース
    中上級 @時計コース Aスツールコース
   ・18時30分 夕食と懇親会
  *4月14日(土)・8時 朝食
   ・9時〜製作 昼食
   ・13時〜製作と仕上げ 発表会 ビレッジ見学
   ・17時 夕食 料亭「州さき」
           「本膳くずし」「祭ごっつお」等会席料理
   ・19時 宵祭り見物 12台の提灯屋台
  *4月15日(日)
   ・8時 朝食 朝食後「からくり奉納」を見学
   ・12時 昼食 市内見学の後解散
(註)
 原則としてこのスケジュールに従っていただきますが、高山祭のみの参加も可能です。この場合は14日午後オークビレッジに集合してください。「州さき」の夕食会から合流します。料金は28350円。
 お子さんも小学校3年生以上なら参加できますが、料金は同じとなります。定員になり次第締め切りますのでお早く申し込みを。

            読者の広場
 ●随想 
   仏陀に会えた?           (岐阜・辻宏子)
 昨年11月、仏陀が出家され、悟りを開かれるまでの地を訪ねる「仏陀ゴーデンロード・セミナー」に参加しました。
そのインド旅行の中で心に残った忘れられないことがあります。それはガヤ駅での少女たちとの出会いです。
 今まで見たこともないプラットホームの溢れんばかりの人の数に圧倒されているとき、チョンチョンと私の脇をつつく8,9歳の少女がいるのです。
 物乞いの少女で2、3人で次々とチョンチョンと脇を突いてきます。彼女たちと目を合わせるのが何ともつらくて、チョンチョン・ノイローゼになりそうでした。 早く列車に乗ってその場を離れたいのですが、列車遅れていてなかなかやって来ません。結局1時間も彼女たちと一緒にいる羽目になりました。
 とても可愛い顔で利発そうです。1時間も一緒にいると情が移っていきます。やっと列車が来て乗り込むときには、思わず「元気でね、幸せになってね」と一人一人の手を握っていました。
 女の子たちも可愛い顔でニッコリ笑って手を握り返してくれました。あの子たちは今日もガヤ駅で誰かをチョンチョン突いているのかと思うと、何とも辛くなります。
 今回の旅に同行された講師は、この旅で仏陀に出会えるとおっしゃっていましたが、私のような者はとても仏陀に会うことはできませんでした。でも今、インドの旅を思い返してみますと、物乞いの少女たちも「千円、千円」と叫んでお土産を売っていた少年たちも、もしかしたら仏陀だったのかもしれません。あんなに澄んだきれいな瞳の少年少女でしたから。
 豊かな日本にいて瞳も心も薄汚れている自分を恥ずかしく思い、また小さな子どもたちが物乞いなどしなくてよい幸せな世界になりますようにと祈らずにはいられませんでした。  (岐阜・辻宏子)

   私が求めていたのは「これ」!  (富田林・奥野玲子)
長い間、堺で生活していた。主人をなくして平成14年春から富田林に越してきた。一人住まいは自由で気楽で元気な間は良いが、年を重ねるうちに、さみしい気持ちがつのり、心の通い合える人々とのきずながほしいと思うようになった。
 そんな折、地域の新聞に“助け合いの仲間を”の見出しで、ボランティアとして使った時間をポイントとして預託し、自分が困った時に助けてもらえるとの記事を見て、私の求めていたのは「これだ!」と思った。その後も「ナルク富田林」のユニークな会報を時々拝見し、また、富田林の歌人石上露子の愛称にも惹かれ、地域の催しに参加させていただきながら、人々とのふれ合いにより、自分のこれからの老後の生活の場を作って生きたいと思った。
 この頃は、地域の子ども達や、小・中学校の先生方との心温まるきずなを感じるようになった。12月14日、女性会員によるおでん持ち寄りのパーティが開かれ、20人の会員が集まった。ナルクを通して、高齢化に向かい自分達が安心して楽しく生活できる地域を作っていきたい。
(富田林・奥野玲子)

             会員の図書
 太郎ちゃんのセリフ      
  (随想舎)       木村恭子著
 著者は栃木拠点の80歳になる会員である。 本の中には24歳になる孫の翔太郎さんの成長記録を元にして書かれた童話が8編収められている。
 40歳を前にして脳腫瘍でなくなった嫁(翔太郎さんの母親)の道子さんに捧げる思いで書いたという。
 著者は書くことは苦手と言うが、若い頃から文学の道を志し、勉学に励んできたため、作品はいずれも本格的な文芸作品になっている。序文を書いた立松和平氏の娘さんの表紙絵や挿絵も素晴らしい。 全国のナルクの会員にお勧めする心温まる童話集である。

  全国ナショナル販売労働組合連合会から寄付
1月24日、標記連合会からナルクに10万円の寄付がありました。 昨年7月に同連合会は解散しましたが、永年のご支援に対し謝意を表したいと言うことで、城戸信介事務局長が事務所を訪れ、高畑会長に手渡されたものです。会長は設立当時から松下労組委員長として支援されてきました。ナルクでは感謝をもってお受けしました。

      ユニトピアささやま
デカンショ節のふる里、丹波篠山にあるこの施設は、松下電器の社員用の広大なリゾート施設です。
 温泉・プール・劇場・研修所・キャンプ場などがあり、ナルクの会員と家族や友人は社員扱いで利用できます。下段の広告をご参照ください。


           2007年3月